AERA 2024年9月16日号より

結婚・出産後も働き続ける女性が増え、厚生年金の加入期間も30歳以下では今の65歳より10年以上延びるのですが、年金額の分布では月額10万円未満の割合が今の7割弱が30歳では約45%に、20歳でも36%程度にしか減らない見通しです。賃金格差が原因である男女の年金格差も解消される見通しではありませんでした」

 第一生命経済研究所研究理事の小川伊知郎氏は、だからこそ若い世代はこの分布推計を活用して、将来の備えをしてほしいと力説する。

「『ねんきん定期便』で送られてくる自分の年金の加入実績をもとに、年金額をネットで簡単に試算できる『年金シミュレーター』を使って試算すれば自分の将来の年金額がある程度わかります。それを今回の分布図にあてはめたりして、仮に同世代の平均より少ないとわかれば、貯蓄・投資を増やすなど自助努力を生活に組み込んでいくのです」

 分布推計による個人単位の年金額試算は、今後の財政検証の「定番」になっていくとするのが専門家たちの一致した見方だ。であるならば、国側には試算方法の「進化」を望みたいし、私たち受け手の方は活用法を磨いていくべきだろう。(編集部・首藤由之)

AERA 2024年9月16日号

著者プロフィールを見る
首藤由之

首藤由之

ニュース週刊誌「AERA」編集委員。特定社会保険労務士、ファイナンシャル・プランナー(CFP🄬)。 リタイアメント・プランニングを中心に、年金など主に人生後半期のマネー関連の記事を執筆している。 著書に『「ねんきん定期便」活用法』『「貯まる人」「殖える人」が当たり前のようにやっている16のマネー 習慣』。

首藤由之の記事一覧はこちら
暮らしとモノ班 for promotion
新型スマホ「Google Pixel 9」はiPhoneからの乗り換えもあり?実機を使って検証