「あるFIFAの理事が日本に来た時、彼は出迎えに来た自動車をいたく気に入った。日本の関係者はその車を贈ることにした。彼の住んでいる場所までは適当な船便がなく、途中から陸送しなければならず、車両価格より運送費の方が高くなってしまったほどだった」(本書より)



 もちろん、日本側がロビー活動をしていれば、招致レースを争っていた韓国も黙っているはずがありません。同書は続けて、韓国側の活動についても説明します。



「海の見える丘にあるレストランに彼(註:日本から車を贈られた理事)から招待された。理事は港に停泊してあったクルーザーを『あれは私のものだ』と指さした。その豪華なクルーザーをよく見ると、船体にはハングル文字が書かれていた。それは韓国の鄭夢準からの贈り物だった」



 電通からISLに渡った8億円について、後々、日本の国税当局から「電通が欧州で資産隠しをしているのではないか」と疑われたそうです。その際、電通の担当役員であった高橋治之氏は「(国税当局に)ロビー活動とは何かという話から説明しなければならなかった」「(FIFA理事に)お金をデリバリーしているかもしれない。しかし、電通側としては一切タッチしていない。ISLに任せている」と調査官に話したことを、田崎さんに証言しています。



 結果、不正蓄財疑惑の追及はなくなりました。また、高橋氏の説明をそのまま受け取れば、ロビー活動費をただちに「賄賂」であるとは言い切れないかもしれません。しかし、残念ながら2002年のワールドカップ招致においてお金のやり取りがあったという事実は、揺るがないようです。

暮らしとモノ班 for promotion
なかなか始められない”英語”学習。まずは形から入るのもアリ!?