元アジアンの馬場園梓(画像=吉本興業提供)

本気で「唐揚げ店」に気持ちを固めた時期も

 なんでしょうね、感覚としてはオートマチック車からミッション車に乗り換えた感じかもしれません。交通ルールや気を付けるべきことの基本は同じなんですけど、運転する時の作業が違う。当たり前と思っていたことの有りがたさ。息をするように普通だと考えていたことが実はそうではなかった。今になってそれを感じてもいます。

 ただ、もうこの道を選んだわけですから、やりきるしかないんですけどね。

 ものすごく細かいことですけど、われわれは仕事で現地集合のことも多いんですね。今までだったら、初めての場所だったら相方と連絡を取って確認しながら行くこともできました。

 駅名だけ聞いていて、待ち合わせ場所が「東出口」か「西出口」か分からない時にも二人で手分けして見に行ける。そんなことも今はできないですしね。イチかバチかで(笑)、自分でやるしかない。なんでも一人。いつも一人。その意味ではメンタルは強くなったと思います。

 一人でやらないといけない。また一年目の気持ちでやらないといけない。その覚悟を40歳から持つことができた。大変ですけど、その分、何か伸びるものがあるはず。新人でもない年代で、これを感じられているのは貴重なことだと思っています。

 もともと、私が芸人になった理由は、大阪・なんばグランド花月のトリを取りたいからだったんです。だからこそ、吉本興業に入りましたし、コンビで頑張ろうとも思いました。ただ、解散という選択肢を選んだので、目標達成は難しくなりました。

 目標としたことがなくなった。となると、吉本にいても何か意味があるのかな。解散してその思いがあったのも事実です。

 私にとって、お笑い以外で唯一、一生懸命になっていると胸を張れるのが唐揚げだったんです。小さなころから本当に大好きで、下味の付け方や粉の配分、揚げ方などを研究してきました。大好きな唐揚げの専門店を立ち上げる。毎日タクシー運転手さんが気兼ねなく来てくださるようなお店にする。本気でそちらに気持ちを固めた時期もありました。

 これは大げさでも何でもなく、本当に考えたんです。そして、とことん本気で考えたからこそ、そこで思ったんです。まだお笑いでやりきってないことがたくさんある。このまま終わったら後悔すると。

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ひとりでも限界までやってみよう