休む判断をしたけれど、それでも動けない自分が許せない……と自分を否定的に見てしまう人もいる。せっかくストレス源から離れても、自分自身のことがストレスになれば休めない。そんな人への処方箋は──。

「低活動な状態に入っている状況を肯定的に受け取ることを提案します」(鈴木さん)

 休みとは、自分の身を守り、回復するための必要な時期なのだ。万物には“リズム”があるという。夏が来た後、秋になって、冬になる。自然の摂理と同じように、人には活動性の高い時期、低い時期がある。

「活動性、生産性が高い状態を周囲から求められ続けたら、どうしても無理が生じます。例えるなら、本来は四季があるのに、ずっと夏のままでいてほしいと地球の公転を無理やり止めるようなものです」(同)

 休むことで一時的に周囲からの評価が下がったとしても、長期的に考えれば、心身を守るためにペースを落とした方がよさそうだ。こんなふうに見積もることも「逃げる技術」だという。鈴木さんは言う。

「日々疲れがちな人は、何のために頑張るか、優先順位を付けたほうがいいです」

 疲労を抱えやすいのは、真面目な人、あるいは他者本位な人、責任感が強く、完璧主義の人。疲労が蓄積していても、何でも「一生懸命やります」という姿勢のため、むちゃを主張する人に搾取されがちだ。

「博愛主義的であるかもしれませんが、誰が自分を大事にしてくれるか見極めるのもスキルです。自分の負荷を減らす選択を一度もしたことがない人は、将来的に“ケガ”をするリスクが非常に高いと思います」(鈴木さん)

疲労と疲労感は違う

 逃げたらどうなっちゃうの?と躊躇(ちゅうちょ)している人へ。

「本当につらいときには、評価が下がるなら死んだほうがマシだという思考になってしまう方もいます。逃げることで起こるリスクを大きく見積もってしまいますが、その悲観性も『症状』のひとつと言っていいでしょう。逃げることによって起きる懸念を検討し、引き受けられるなら、自信を持って逃げましょう。それも技術です」(同)

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「攻めの休養」の大切さ