3食規則正しく、そして食事内容の多様性が大切だ(写真:Getty Images)
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 休んでも疲れが取れない、慢性的な疲れに悩まされる人は少なくないだろう。疲労に打ち勝つためにはどうすればいいか。「食事」「運動」のキーワードから、具体的なノウハウを取材した。AERA 2024年9月9日号の「最強の回復法」特集より。

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【食事】

 食事ももちろん重要な要素。しかし「特効薬」があるわけではない。そう話すのは、早稲田大学スポーツ科学学術院教授の宮地元彦さんだ。

「活力が出る食品成分とは、というところに、みなさん関心が行くと思います。筋力や持久力を高めるカフェインなど、一時的に『元気の出る』成分が、ないわけではない。ただ最も大事なのは、1日3回の食事を規則正しくとるということです」

 たとえば朝食は遅くても午前9時頃までに、夜も午後7時頃など毎日決まった時間にとることで、午後11時には自然と眠くなるといった「概日リズム」(体内時計)を形成することがまずは必要だと宮地さんは言う。

「もう一つ大事なのは食事内容の『多様性』。3食のうち最低1食、できれば2食は主食、主菜、副菜のそろったいわゆる定食風なものを食べて、バランスよく栄養をとる意識が必要です」

腹八分目で規則正しく

 仕事に子育てにフル回転して体も頭も相当にエネルギーを使っているはずの働き盛りの人が、しっかりと食事をとる時間もなく、そもそも慢性的なエネルギー不足で「いつも疲れている」ケースも多いと宮地さんは言う。

「かといって食べ過ぎてエネルギー過剰な状態も心身の機能低下につながる。バランスの取れた食事を腹八分目で、規則正しく。これが回復のコツです」

【運動】

 疲れたときはただ安静にするのではなく、あえて体の負担にならない程度の身体活動を行う「アクティブレスト(積極的休養)」も効果的だと、宮地さんは言う。

「疲労は日々の営みで体内に産生される代謝産物や、激しい運動の後に蓄積される乳酸などの疲労物質が原因であることが多い。運動をすることでそれらの物質を代謝の仕組みを通じて除去、処理してくれるんです」

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小長光哲郎

小長光哲郎

ライター/AERA編集部 1966年、福岡県北九州市生まれ。月刊誌などの編集者を経て、2019年よりAERA編集部

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