最速147キロ左腕として花巻東・大谷翔平、大阪桐蔭・藤浪晋太郎(現オリオールズ)とともに“ビッグ3”と並び称されたのが、愛工大名電・濱田達郎だ。

 12年のセンバツでは、1回戦の宮崎西戦で14三振を奪うなどの快投で8強入り。夏の甲子園は不調で初戦敗退も、大谷、藤浪とともに選ばれた18U世界選手権では最速146キロをマークし、同年のドラフトで地元・中日に2位指名された。

「ファンの方々から“濱田が投げたら勝てるぞ”という投手を目指していきたいと思います」と誓った濱田は、2年目の14年5月7日の阪神戦で初先発初完封の快挙を達成し、先発ローテ入りすると、7月までに5勝を挙げた。

 だが、8月に左肘靭帯損傷が判明し、以後、相次ぐ故障やサイド転向、2度にわたる育成契約など、苦闘の日々が続いた。

 そして10年目の昨オフ、「ケガ続きでリハビリしては同じことの繰り返しで苦しかった。球団に待ってもらって本当に感謝しています」と通算28試合、5勝7敗で現役引退。「ケガさえなければ、今頃ドラゴンズのエース格だったろうに」と惜しむファンも多い。(文・久保田龍雄)

著者プロフィールを見る
久保田龍雄

久保田龍雄

久保田龍雄/1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。

久保田龍雄の記事一覧はこちら
暮らしとモノ班 for promotion
新型スマホ「Google Pixel 9」はiPhoneからの乗り換えもあり?実機を使って検証