今まで独身を貫いた理由とは?
ここに1冊の本がある。森口さんが27歳のときに書いた著書『もっとうまく好きと言えたなら』(TOKYO FM出版)だ。そこには、森口さんの結婚への思いがこうつづられている。
〈35歳で結婚しようと思っているんです〉
〈森口博子が好きだから花村博美と結婚したい、という人とは結婚したくないな。花村博美を愛してくれる人と結婚したい〉
著書に「35歳で結婚」とつづっていたことについて森口さんに聞くと、笑いながらこう答えた。
「それは子どもががんばって書いた本です(笑)。本では理想とする結婚のイメージを書きましたが、実際に35歳になったときは、『今、結婚したらもったいない』と思っていましたから(笑)」
30代半ばの頃、森口さんはNHK連続テレビ小説「てるてる家族」や、昼ドラ「愛の劇場」(TBS系)に出演するなど、女優業に邁進していた頃だった。
「本当に仕事が忙しくて、なかなか恋愛できていなかったんですね。それでも、プロポーズされたことは3回以上はありますよ。10回はないですけど(笑)。お相手も最初は『仕事を続けていいよ』とか言うんですけど、具体的に結婚の話になると『やっぱりセーブしてね』とか『仕事を辞めてほしい』とか言うんですよね。でも、私は絶対に仕事はセーブしたくなかった。この世界って、いつ、どんな仕事が入ってくるかわからないですよね。それなのに自分から仕事をセーブするなんて、私の中ではあり得なかったんです」
ただ、仕事と結婚のはざまで心が揺れ動いた時期もあったようだ。
「40代になったとき、やっぱりこのまま1人でいると不安だし、頑張って仕事をして自宅に帰ったときに、『おつかれさま』って、ねぎらってもくれる人がいたらいいなと思う日もありました。だけど、50代になったら、もう1人のほうが楽になっちゃった。縁があって誰かと出会ったとしても、お互いによくも悪くも、これまでの生活習慣やクセが染みついているものですよね。それを受け入れ合えるかというと、ちょっと疑問だなあと」
恋愛や結婚に対して、とてもストイックな考え方を持っている森口さん。生活の中でも、少し潔癖症的な一面があるようだ。たとえば、外出先のトイレの便座には座れないという。
「外出先のホテルや飲食店のトイレでは、便座にはできるだけ座りたくないんです。だけど、一石二鳥のところもあって、(お尻を)浮かせることによって、足腰が鍛えられるので、スクワットのような効果があるんです。足腰を鍛えるためにもいいなと思って(笑)」