浅田真央(左から2番目)がヘアカットに“込めた思い”とは…(筆者撮影)
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 浅田真央は、初出演の『フレンズオンアイス』で、新境地を開くプログラムを演じた。

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 台風が近づく中で開催された『フレンズオンアイス2024』の公開リハーサルだったが、会場のKOSÉ新横浜スケートセンターは熱気にあふれていた。プロデューサーである荒川静香の手腕により、今年は浅田真央も出演したのだ。

 第1部の最後を飾るグループナンバー『Warriors』は、荒川、浅田、村元哉中、アンドリュー・ポジェによる和のプログラムだ。アンドリューと組んでみせた浅田のリフトは、自らがプロデュースした「BEYOND」「Everlasting33」で積んだカップル演技の経験が感じられる華麗な出来栄えだった。

 そして第2部では、浅田はソロの新プログラム『Chandelier』を披露した。オーストラリア出身の人気歌手Siaによる『Chandelier』は、不安定な精神状態を表現する深い歌だ。依存症に苦しんだ経験からインスパイアされた『Chandelier』を、Siaはボブヘアーのウィッグを被り、顔を隠して歌っていた。世界中から称賛されたという『Chandelier』のミュージックビデオで踊る当時11歳の天才ダンサー、マディー・ジーグラーも、ボブヘアーのウィッグを被っている。

 この公演に先立って浅田は長かった髪を切り、ボブヘアーにした。公開リハーサル後の会見で、浅田はその理由を次のように語った。

「私はSiaの『Chandelier』で、Siaもその曲の時はばっさりショートだったりとか、あとPVの子もばっさり切っていたので、ちょっとそのイメージに合わせて、ばっさり切りました」(浅田)

 浅田の『Chandelier』は、胸に迫るものだった。直近の公演「Everlasting33」で浅田が滑ったナンバーはクラシカルなものが中心だったが、『Chandelier』はコンテンポラリー風のナンバーといえるだろう。タンクトップとショートパンツの上に白いシャツを羽織って登場した浅田は、Siaのハスキーな声を、抜群に伸びるスケートで表現していく。プロスケーターになってから習得したと思われるクリムキンイーグルも披露し、最後はシャツを首に結ぶ印象的なエンディングを迎えた。

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