『サピエンス全史』の著者ユヴァル・ノア・ハラリが述べているように、人間が人間であるためにはゴシップ情報が重要なのである。人類は、ある意味でゴシップを通じて社会のルールや価値観を共有し、コミュニティの絆を深めてきた。やめろと言ったからと言って簡単にやめられるものでもない。
だからこそ、われわれには、その優先順位や関わる時間の長さを間違えないようにすることが求められる。ゴシップは確かに人間関係の潤滑油となるが、他者への配慮や倫理的な判断も忘れてはならないし、ゴシップばかりにかかずらってはいけない。そのためには終わりの会の先生にあたる役割、すなわち行き過ぎた内容を制止する機能が必要だろう。
例えば、明らかに行きすぎた第三者からの投稿やDM、異常な時間の費やし方に対して、AIなどの活用によって、適切な方向に巧みに誘導する機能がプラットフォームには必要である。
終わりの会と現代のSNSにおける公開反省の文化には多くの共通点が見られる。人間の性と言ってしまえばそれまでだが、開き直って放置するのではなく、過去の経験を踏まえながら、相手への尊重や思いやりを忘れずに、健全な議論を行うことが大切である。できれば過度な法規制ではなく、良識とナッジ(自ら適切な行動を取れるように促すこと)による解決が望ましいと考えている。
(プリンシプル・コンサルティング・グループ株式会社 代表取締役 秋山 進、構成/ライター 奥田由意)