米ノースカロライナ州のイベントに登場したトランプ氏とバンス氏=8月21日(写真:ロイター/アフロ)

 8月21日、ウォルズ氏の妻グウェンさんから、夫の副大統領候補指名受諾演説を前に支援者向けメッセージが来て、夫の教師歴を強調した。

「家族、先生、国民にとって素晴らしい夜になる」

 教師であるとともに20年以上の兵役の間、政治に関心を持ち大統領選挙のボランティアをした後、2007年に連邦下院議員に初当選。19年、ミネソタ州知事となり、22年に再選した。

 ウォルズ氏は21日の副大統領候補指名受諾演説で、

「カマラ・ハリスは準備ができている。今は第4クオーターだ。攻めている。私たちの仕事は、ブロックし、タックルすることだ!」

 と、フットボール用語で盛り上げ、会場からは「コーチ、コーチ!」というコールが起きた。コミュニケーションの取り方はコーチ風で、盛り上げが上手いことを党大会で副大統領候補となってから初めて見せた。

貧困家庭出身の苦労人

 一方、共和党の副大統領候補となったJ・D・バンス上院議員(40)は、貧困家庭の出身だ。彼は16年、『ヒルビリー・エレジー アメリカの繁栄から取り残された白人たち』(光文社刊は17年)を出版し、ベストセラーとなった。筆者は16年、トランプ氏vs.ヒラリー・クリントン元国務長官の大統領選挙戦を取材しながら、「田舎者の哀歌」と題されたこの本を読み、米貧困層ではこれほど希望のないつらい子ども時代があるのかとショックを受けた。

 バンス氏は「ラスト・ベルト(錆びついた工業地帯)」と呼ばれた中西部アパラチア山脈の田舎町で育った。町には大卒が一人もいなかった。母親は情緒不安定で麻薬のヘロインに依存し、夫やボーイフレンドがコロコロ代わる。子どものバンス氏は母親の看病を試みるが虐待されて、小学校に行くのも苦労する。祖母の家で暮らし始めるが、祖父母もアルコール依存症で暴力と暴言の連続。ただ、粗野だが地頭のいい祖母のおかげでバンス氏は学業を続ける。大学に進学するお金はないため海兵隊に入り、除隊後、努力を重ねて州立大学からエール大ロースクールへと進んだ。

 とはいえ、貧困地帯の出身であるために授業や会議では戸惑うことの連続。服装も習慣も異なる中、少しずつ人間関係を築いていき、シリコンバレーの投資会社経営に関わった後、中西部オハイオ州に移り、22年、連邦上院議員に当選した。

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