明石家さんま
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 明石家さんまが出演するテレビ東京の特番『さんまさん!ここで問題です~解答者・明石家さんまVSクイズさん~』の制作が発表され、話題を呼んでいる。

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 このニュースが注目を集めている最大の理由は、さんまがテレビ東京に出演すること自体が珍しいことだからだ。彼は長年にわたってテレビ東京には一切出演をしてこなかった。司会者として出演するのは実に40年ぶりになるという。

 若き日のさんまは1981~84年に放送されていた『サタデーナイトショー』(テレビ東京系)という深夜番組の司会を務めていた。当時のテレビ東京の全番組の中でも最高の視聴率を取るほどの人気番組だったのだが、お色気要素の強い番組だったため、局の上層部の抗議により打ち切られてしまったという。

 数字を取っていたにもかかわらず、理不尽に番組が終わってしまったことでさんまは激怒。それ以降、テレビ東京の番組には出演しなくなった。最近になってから、後輩である出川哲朗のために『出川哲朗の充電させてもらえませんか?』(テレビ東京系)に何度かゲスト出演したことはあるが、それ以外は一切出ていなかった。

 そんなさんまがテレビ東京に出るというのだから、それだけでニュースバリューは十分ある。しかも、出演者のラインナップも豪華だ。出川哲朗、川島明、霜降り明星のせいや、ヒコロヒーなど、今をときめく人気芸人たちが名を連ねている。収録はすでに行われており、8月29日に放送される。

 この歴史的な番組が放送されることには、さんまとテレビ東京の双方にメリットがある。さんまにしてみると、過去の因縁を水に流して、民放キー局の中では弱小と言われるテレビ東京に顔を出すことで、好感度がさらに上がる。

 一方、テレビ東京にしてみると、さんまという大物芸人が出ること自体に価値があるのはもちろん、「テレ東にさんまが出る」という特別なニュースバリューがあり、注目されやすくなる。また、さんまの番組であるということを生かして、後輩にあたる人気芸人をブッキングすることも容易になる。

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ラリー遠田

ラリー遠田

ラリー遠田(らりー・とおだ)/作家・お笑い評論家。お笑いやテレビに関する評論、執筆、イベント企画などを手掛ける。『イロモンガール』(白泉社)の漫画原作、『教養としての平成お笑い史』(ディスカヴァー携書)、『とんねるずと「めちゃイケ」の終わり<ポスト平成>のテレビバラエティ論』 (イースト新書)など著書多数。近著は『お笑い世代論 ドリフから霜降り明星まで』(光文社新書)。http://owa-writer.com/

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