第106回全国高校野球選手権大会、関東第一(東東京)と神村学園(鹿児島)が対戦した8月21日の準決勝第1試合は、1点を奪う、1点を守る緊迫した接戦に。九回の攻防にはそんな高校野球の醍醐味が詰まっていた。

【写真特集】甲子園2024・準決勝第1試合 神村学園-関東第一 緊迫した九回の攻防

先発した関東第一・大後(撮影/写真映像部・松永卓也)
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 8月21日に行われた準決勝第1試合。2対1と関東第一がリードして迎えた九回表の攻防は見ごたえ十分だった。

 神村学園2死一、二塁で、打席には代打・玉城功大。自身が倒れればゲームセット。早々に2ストライクに追い込まれたが焦りはなかった。

神村学園・増田(撮影/加藤夏子)
神村学園・今村(撮影/写真映像部・松永卓也)

「三振が少ないのが僕の強み。大きいのを狙わずに、センター返しを意識していました。いつか自分に勝負どころでの起用が来ると思っていたし、自信しかなかった」

 言葉通り、玉城はセンターへはじき返し、「思い描く打撃ができた」。

神村学園の二塁手・増田(撮影/加藤夏子)
神村学園・今村(撮影/加藤夏子)

 二塁走者の岩下吏玖は三塁も蹴り、同点を狙って本塁へ突入した。

「必ず打ってくれると信じていたし、迷いはまったくなかったです。必ず本塁返ってやると」

神村学園の遊撃手・今岡(撮影/加藤夏子)

 関東第一の中堅手・飛田優悟は中前打に猛チャージした。

「やばいと思ったけど、普段から実践を想定して練習していた。絶対に刺してやろうと思いました。自信ですか? ありました」 

神村学園・正林(撮影/加藤夏子)

 飛田のバックホームはノーバウンドで捕手・谷俊乃介のミットに収まり、ヘッドスライディングした岩下とクロスプレー。

「すぐにはジャッジがわからなくて、少し間があってアウトのコールが見えてほっとしました」(飛田)

 ジャッジがどちらに転んでもおかしくない紙一重のプレー。互いに自信にあふれたプレーが交錯し、甲子園球場が大きく沸いた最終回の攻防だった。

(編集部・秦正理)

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四回表、神村学園・正林が先制のホームイン(撮影/加藤夏子)
神村学園・今村(右)と捕手の木下夢(撮影/加藤夏子)
神村学園・今村(右)と捕手の木下夢(撮影/加藤夏子)
五回裏、飛球を追う神村学園の中堅手・入耒田(右)と左翼手・上川床(撮影/写真映像部・松永卓也)
六回から継投した関東第一・坂井(撮影/写真映像部・松永卓也)
神村学園・今村(撮影/加藤夏子)
神村学園の先発・今村は「自信と勇気を持って投げた」と6回を無安打投球(撮影/加藤夏子)
関東第一・坂井(撮影/加藤夏子)
七回裏に同点の適時二塁打を放った関東第一・熊谷(撮影/加藤夏子)
関東第一・市川(撮影/加藤夏子)
七回裏、神村学園のピンチで内野陣がマウンドに集まる(撮影/写真映像部・松永卓也)
八回裏、関東第一・坂本は右中間に二塁打を放ち、二塁塁上でガッツポーズ(撮影/写真映像部・松永卓也)
神村学園・入耒田(撮影/加藤夏子)
1点を追う九回表、神村学園・岩下は安打で出塁しガッツポーズ(撮影/加藤夏子)
九回表、神村学園・岩下(左)が同点を狙って土煙を挙げて本塁へヘッドスライディング。捕手・熊谷(撮影/加藤夏子)
九回表、神村学園・岩下(右)が本塁へ滑り込むも、中堅からのストライク返球を受けた熊谷がタッチ(撮影/写真映像部・松永卓也)
神村学園は1点を追う九回表、「迷いはなかった。絶対に返ってやる」と二塁走者・岩下(右)が本塁へ突入。アウトがコールされる。捕手・熊谷(撮影/写真映像部・松永卓也)
健闘をたたえ合う関東第一(手前)と神村学園の選手たち(撮影/写真映像部・松永卓也)
関東第一、勝利の校歌斉唱(撮影/写真映像部・松永卓也)
初の決勝進出に喜びを爆発させる関東第一ナイン(撮影/写真映像部・松永卓也)
試合終了後、アルプスに向かい整列する神村学園ナイン(撮影/写真映像部・松永卓也)
健闘をたたえ合う神村学園(手前)と関東第一の選手たち(撮影/加藤夏子)
敗戦に涙がこぼれる神村学園・今村(撮影/加藤夏子)
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秦正理

秦正理

ニュース週刊誌「AERA」記者。増刊「甲子園」の編集を週刊朝日時代から長年担当中。高校野球、バスケットボール、五輪など、スポーツを中心に増刊の編集にも携わっています。

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