パリ五輪に出場したアスリートに対する誹謗中傷が問題視されているが、プロ野球でも同様のことが起きており、最近ではロッテの投手・坂本光士郎に対し、SNS上で心無い書き込みが殺到する事態となっている。死球をめぐる坂本の態度に対するものだが、人格否定に及んでいる。そうした誹謗中傷を受けた選手のなかには、法的措置を取る例も出始めている。
坂本の場合、発端は2つの死球だった。8月6日のソフトバンク戦(ZOZOマリン)。7回に登板した坂本は、2死から内角に投げた直球が、左打席の近藤健介の手首付近を直撃。坂本は帽子のつばに触れて謝罪の仕草を見せたが、温厚な近藤が珍しく厳しい視線をマウンドに向けてスタンドがざわついた。
球審が警告試合を宣言
そして、5日後の12日のオリックス戦(ZOZOマリン)では乱闘寸前の事態に。坂本は8回から登板したが、先頭打者の森友哉への初球が右肩に当たる死球に。森は激怒し、捕手の田村龍弘が静止しながら森はいったんは一塁に歩き出した。しかし、マウンドから降りてきた坂本の態度か言動かに再度怒りの表情を見せ、マウンドに詰め寄ろうとし、両軍の選手、首脳陣がベンチから飛び出した。ロッテの吉井理人監督が森をなだめて収束したが、村山球審が警告試合を宣言して試合が再開された。
オリックスの球団OBはこう指摘する。
「死球を当てただけでは打者は怒らない。怒ったとしても感情を抑えられます。森がマウンドに詰め寄ったのは、坂本が帽子を取らずにツバを触っただけで反省の態度が見えないと感じたからでしょう。150キロ近い直球が頭部付近に来たら一歩間違えれば、大ケガにつながるリスクがある。その後にそういう態度を取られたら怒るのは当然です」
球界を代表する2人の強打者を怒らせた2つの死球に、SNS上は坂本を批判するコメントであふれた。坂本のインスタグラムには、「正直当ててしまうことは仕方ないと思います。しかし当てた後のあの態度は無いと思います。せめて帽子を取るくらいしたほうがいいですよ」「ボールを当てたら帽子を取って謝る姿勢は見せて欲しかった。スポーツマンとして…残念な気持ちになりました」などのコメントが。