東京ドームで国歌斉唱するSMAP=2014年3月

 僕が「そうなんです。来年の3月31日で辞めさせていただくんです」と言うと、その方は、僕の目をしっかりと見て「今までSMAPを支えてくれてありがとうございました」と丁寧におっしゃって頭を下げてくれたんです。

 その言葉を聞き、朝から、とてつもなく胸が熱くなり、涙が出そうになりました。そのことをX(旧Twitter)に書きました。

 そうすると、ずっとSMAPのことを応援している方々が、コメントに僕への感謝の思いを綴ってくれました。

「スマスマでずっと戦友」

 どれも嬉しいコメントばかり。その中に「生謝罪のクレジットにおさむさんの名前があって更に号泣したのを覚えています。こんな苦しい仕事を…と心の内を察しました。スマスマでずっと戦友であり同志であったおさむさん。こちらこそ感謝の気持ちでいっぱいです」というコメントがありました。

 この仕事をやってきて苦しいこともあったけど、そこも含めて見てくれていた人がいるんだと思うと、本当にやってきて良かったと思えて。

 あの時、一番苦しい気持ちになったのはファンの皆さんだと思います。そこも超えてずっとファンを続けている。ファンはタレントを写す鏡だとは思いますが、本当に本当に素晴らしいです。

 バルーンフェスタのたこ焼き屋の前で、その女性とのやり取りをうちの息子が黙ってずっと見ていました。どう思ったかは分かりませんが、熱くなった思いで空を見ると、そこには沢山の気球が浮かんでいました。

 感謝。

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鈴木おさむ

鈴木おさむ

鈴木おさむ(すずき・おさむ)/放送作家。1972年生まれ。19歳で放送作家デビュー。映画・ドラマの脚本、エッセイや小説の執筆、ラジオパーソナリティー、舞台の作・演出など多岐にわたり活躍。

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