日経平均株価の下げ幅が過去最大になったことを受け、取材に応じる林芳正官房長官=2024年8月5日午後5時42分、首相官邸

 市岡さんはこうした理由などによって、今回の相場急落で大きな損失を余儀なくされた投資家も少なくないとみている。特に投資のための資金を借り入れで賄ってきたケースでは、返済もままならなくなり、借入先にもダメージがおよびかねない。そうなれば、金融市場に危機が広がる可能性もある。

「今は売られすぎた反動で株価はリバウンドしていますが、今回のような暴落の場、過去の経験則では4~5週間は混乱が収まりません。このリバウンドも、高値(4万2224円2銭)から安値(3万1458円42銭)までの『半値戻し』の水準(約3万7千円)近辺で止まることが多い。今後、投資先から資金を引き上げる動きが連鎖的に拡大していけば、金融危機の引き金にもなりかねません」(市岡さん)

 まだ安心はできそうもない。

(AERA dot.編集部 池田正史)

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池田正史

池田正史

主に身のまわりのお金の問題について取材しています。普段暮らしていてつい見過ごしがちな問題を見つけられるように勉強中です。その地方特有の経済や産業にも関心があります。1975年、茨城県生まれ。慶応大学卒。信託銀行退職後、環境や途上国支援の業界紙、週刊エコノミスト編集部、月刊ニュースがわかる編集室、週刊朝日編集部などを経て現職。

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