仲間に声を掛けられ涙ぐみながら会場を去った蓮舫氏 東京都千代田区で(撮影/上田耕司)
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 8月もまもなく終わります。最近「AERA dot.」で掲載された記事のなかで、特に読まれたものを「見逃し配信」としてお届けします(この記事は7月8日に「AERA dot.」で掲載されたものの再配信です。年齢や肩書などは当時のもの)。

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 小池都政をリセットするはずが、思わぬ3位。7日に投開票された東京都知事選で、立憲民主党(離党)の蓮舫氏は、現職の小池百合子知事に大差をつけられ、彗星のごとく現れた前広島県安芸高田市長・石丸伸二氏にも敗れる惨敗を喫した。何が悪かったのか。開票速報を見守った陣営の会場では、街宣活動などで全面支援した共産党幹部や立憲の盟友と抱き合い結束の強さをうかがわせたが、「それが敗因」との評も。取り込めなかった無党派層。「どうしたらいいのか、石丸さんに聞きたい」。陣営幹部からはそんな声も漏れた。

 東京都千代田区の「蓮舫選挙事務所開票センター」の会場。立憲民主党の国会議員、共産党議員、支援者たちが詰めかけ、ステージに備えつけられた大型テレビでNHKの開票速報を見守った。午後8時。投票が締め切られると同時に、小池百合子氏に「当選確実」がついた。 分かっていたこととはいえ、静まりかえる会場。

 約30分後、蓮舫氏が姿を現した。会場から拍手が沸き起こる。蓮舫氏は笑顔で深々と頭を下げ、涙をこらえるように語り始めた。

「これからじっくり考えさせていただきたいと思いますが、私の力不足に尽きると思います」
 

「熱いものがあった」

 報道陣の質問に答える形で、選挙戦での有権者の反応、これからの政治活動について淡々と説明した。

「本当に熱いものがあったし、私の思いに対して敏感に答えていただけるものも多かったと思う。私にとっては楽しい戦いでした」

「現時点で、この選挙戦、自分の中ではまだ完全にピリオドを打てている感じではないので、もう少し考えたい」 

 前評判を覆し、2位の得票を得た石丸氏についての質問には言葉少なに答える。

「全ての候補者に対してリスペクトがある。みなさん、それぞれ主張もあります」

 前半戦の蓮舫氏の街頭演説は1日1回のペースだった。中盤からは朝晩2回に増やしたが、それでも1日数回を精力的にこなす石丸氏には遠く及ばなかった。

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上田耕司

上田耕司

福井県出身。大学を卒業後、ファッション業界で記者デビュー。20代後半から大手出版社の雑誌に転身。学年誌から週刊誌、飲食・旅行に至るまで幅広い分野の編集部を経験。その後、いくつかの出版社勤務を経て、現職。

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