前田はドジャース時代の19年以来2ケタ勝利から遠ざかっているが、昨年は6勝8敗、防御率4.23と大きな衰えが見えるわけではない。日本球界から熱視線が送られるのは当然だろう。昨年までにメジャー通算65勝、日米通算では164勝をマークしている。力が通用する時に日本球界に復帰し、日米通算200勝をマークしたい思いを前田自身が複数のメディア媒体で明かしている。
昨オフに去就が注目されたが、ツインズのライバル球団・タイガースと2年契約を結んだ。球団フロントは先発ローテーションでまだまだ通用すると判断。若手の模範的な存在になる期待も込められていた。
だが、今季、前田は思い描いた投球ができていない。初登板となった3月30日のホワイトソックス戦では3本のアーチを浴びるなど4回途中7安打6失点KO。その後も白星がなかなかつかなかったが、5月1日のカージナルス戦で6回4安打1失点ときっちり試合を作り移籍後初勝利を挙げた。波に乗りたかったが、ウイルス性疾患のため15日間の負傷者リスト入りし、その後も投球中に右脇腹の痛みで緊急降板、打球が右膝に直撃して負傷降板するなど想定外のアクシデントに相次いで見舞われる。
7月に入ると試合序盤でKOされる登板が続いた。5日のツインズ戦は3回2/3で9安打9失点、10日のカージナルス戦は2回2/3で7安打6失点と集中打を浴びた。直球は145キロ前後と決して速くない。抜群の制球力が生命線だが、慎重になるあまりカウントを悪くして、スライダー、チェンジアップが浮いたところを痛打された。マウンド上で首をかしげる前田の表情にはチームの力になれない苛立ちが見られた。