リレーでの「カミソリスタート」が期待される坂井隆一郎
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 熱戦が続くパリ五輪は、すでに後半戦に突入している。選手たちの歓喜と落胆の表情を交互に見るような日々が続く中、注目の「男子4×100mリレー」の予選(日本時間8月8日18時35分~)、そしてメダルをかけた決勝(同10日2時47分~)が行われる。

【写真】第4走はこの選手で確定的か

 陸上種目の中で「リレー」は日本の“お家芸”となった。2008年の北京五輪(塚原直貴、末續慎吾、高平慎二、朝原宣浩)での銅メダル(のちに銀メダルに繰り上げ)に沸いた後、2012年のロンドン五輪(山縣亮太、江里口匡史、高平、飯塚翔太)では5位(のちに4位に繰り上げ)に終わったが、2016年のリオデジャネイロ五輪(山縣、飯塚、桐生祥秀、ケンブリッジ飛鳥)では堂々の銀メダルで日本中を大興奮に包んだ。

 その後も日本チームは充実の時を過ごし、2017年のロンドン世界選手権(多田修平、飯塚、桐生、藤光謙司)で銅メダル、さらに2019年のドーハ世界選手権(多田、白石黄良々、桐生、サニブラウン・ハキーム)では37秒43のアジア記録で再び銅メダル。個々の能力では強豪国に劣りながらも、チームとして「アンダーハンドパス」を極限まで磨き、表彰台の常連となった。

 しかし、100m9秒台の面子をズラリと揃えた“史上最強メンバー”で臨んだ2021年東京五輪(多田、山縣、桐生、小池祐貴)では、予選を「安全バトン」で通過した後に迎えた決勝で、第1走者の多田から第2走者の山縣のところで痛恨のバトンミスで失格となり、呆然と天を仰いだ。あれから3年、日本チームは一体、どのような走りを見せてくれるのだろうか。

 今回の「男子4×100mリレー」のメンバーは、個人100mに出場したサニブラウン、坂井隆一郎、東田旺洋、個人200mの鵜澤飛羽、上山紘輝、飯塚、リレー専属として選ばれた桐生、栁田大輝の計8人。この中から4人が出走することになるが、「カミソリスタート」の異名を持つ坂井の第1走と、個人100mで決勝進出ならずも準決勝で日本記録にあと0秒01に迫る9秒96の走りを見せたサニブラウンの第4走は確定的か。数ある組み合わせの中で、21歳で勢いのある栁田が第2走、昨秋の杭州アジア大会200m王者の上山が第3走での出走が有力だが、3度目の五輪出場となる経験豊富でコーナリングも定評のある桐生を第3走で起用するプランもある。

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“3強”の壁を崩してメダルなるか?