おぼん・こぼんの2人(撮影/上田耕司)
おぼん・こぼんの2人(撮影/上田耕司)

 当時は1980年代のバブル時代。世の中はゴルフブーム真っ盛りで、ゴルフ会員権は投機対象となっており、1億円以上の値がつくこともあった。おぼんが購入したのは千葉県にあるゴルフ場の会員権で、コース設計も有名なゴルファーが手がけたという触れ込みだった。

「銀行もすぐにカネを貸してくれたから、ローンを組んで会員権を買いました。でも、いつまでたってもゴルフ場は完成しないまま。結局、お金は帰ってこず、銀行ローンだけが残りました」(おぼん)

 莫大な借金を抱えることになったおぼん。借金は毎月30万円ずつコツコツと返済することに決め、完済したのは約10年前だったという。毎月借金の返済に追われる日々はつらくなかったのだろうか。

「当時は僕らも稼いでいましたからね。漫才を1回したら何百万とギャラが入ることもあった。でも、自分でもよく返せたよなと思う。他にも養育費や家のローンなんかで、月の支出は総額100万円では済まなかったから。人生損ばっかりや(苦笑)」(おぼん)

 おぼんは大阪市内の道頓堀川の近くで生まれ、こぼんは兵庫県の芦屋市出身だ。こぼんは中学時代から漫才が大好きな少年だった。

「中学を卒業したら誰かに弟子入りして、漫才で生きていきたかった。それで、お頼みしたのが漫画トリオの横山ノックさん。だけど、『やめなさい。お笑いの道で挫折したら、ほかの仕事を見つけるのが難しいから、高校は卒業しておきなさい。それより人の舞台をもっと見て勉強するように』と言われました。親心もあったんでしょうね。それで、高校へ進学することにしたんです」(こぼん)

 当時出会った人の中には、やすきよ(横山やすし、西川きよし)漫才で知られる横山やすしもいた。

「当時、やすしさんはまだ全然売れてなくて、漫画トリオさんのところでカバン持ちをやっている芸人のタマゴでした。やすしさんは3人くらい相方を替えたけど、なかなか売れなかったんですね。その時は酒もそんなに飲んでいなくて、喫茶店でずーっとミーティングするようなタイプでした」(こぼん)

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