今は1月にスタートした新NISAが、そうした動きに拍車をかけているという。森永さんは続ける。

「これまで投資には縁もゆかりもなかった人たちが、なけなしの資金を株式市場に投じています。それは非常に危険なことです。特に老後のために蓄えてきた資金や、生活のために必要なお金は投資に回すべきではありません。最悪の場合、溶けてなくなる可能性があるということは、競馬や競輪といったギャンブルと同じ。新NISAだって、損していい、なくなっても構わないという範囲でならやっても構いませんが、老後資金や生活資金を投資に充てるようなことは絶対に避けなければなりません」

賢明な判断が求められる

 森永さんによると、前述の「暗黒の木曜日」をめぐって有名なエピソードがあるという。ジョン・F・ケネディ米元大統領の父、ジョセフ・P・ケネディがある時、ウォール街で靴磨きの少年から株式市場の予想を聞かされ、行き過ぎた株式市場の熱狂ぶりに危険を感じた。

 そこですぐ、当時保有していた株式をすべて売り払い、暴落を切り抜けることができたのだという。父親は「ケネディ王朝の創始者」と呼ばれることもある。

「当時のケネディの父親の判断が、その後の大統領の誕生をはじめとする同家の繁栄につながったと考えることができます。今はまさに、そうした賢明な判断が求められる局面ではないでしょうか」

(AERA dot.編集部・池田正史)

著者プロフィールを見る
池田正史

池田正史

主に身のまわりのお金の問題について取材しています。普段暮らしていてつい見過ごしがちな問題を見つけられるように勉強中です。その地方特有の経済や産業にも関心があります。1975年、茨城県生まれ。慶応大学卒。信託銀行退職後、環境や途上国支援の業界紙、週刊エコノミスト編集部、月刊ニュースがわかる編集室、週刊朝日編集部などを経て現職。

池田正史の記事一覧はこちら
暮らしとモノ班 for promotion
【10%オフクーポン配布中】Amazonのファッションセールで今すぐ大活躍する夏のワンピやトップスを手に入れよう!