「図鑑」というアルバムタイトルには、「まだ出合っていない音楽や景色があるんじゃないか」という期待が込められている[撮影:蜷川実花/hair & make up 藤尾明日香/styling 三島和也(Tatanca)/prop styling 遠藤 歩]
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 カラフルなサウンドが溢れる18thアルバム「図鑑」をリリースする「ゆず」の2人。デビュー以来、一度も歩みを止めることなく前進してきた中で生じた心の変化と現在の思いを語った。AERA 2024年8月5日号より。

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――アルバムタイトルの「図鑑」にはどんな思いが込められているのだろうか。

北川悠仁(以下、北川):デビューから27年も経つと、いろいろなことがわかってきた一方で、デビュー当時は迷わずに突き進めていたことができなくなってしまったり、「ここまで来れたからもういいんじゃないか」という思いもどこかにあって。でも同時に、まだ出合っていない音楽や景色があるんじゃないかという期待も抱いていて、それが図鑑をめくる時のわくわくする気持ちとリンクしたので、今回のアルバムタイトルにしました。

岩沢厚治(以下、岩沢):二人組だからこその役得でもあると思うのですが、バンドのサポートメンバーやプロデューサーが変わるだけでもゆずの楽曲を料理していただける数が増える。その化学反応はいつも楽しみです。僕が作詞作曲した「つぎはぎ」の編曲を手がけてくれたsugarbeansくんとは今年1月の「“寺沢勘太郎一家”巡業の旅 リターンズ」で出会ったのですが、ご縁を感じてアレンジをお願いしました。これまでにない素敵なアレンジの曲です。

北川:ロジカルに構築していった曲と、セッションを軸にしてフィジカルに作っていった曲が交ざっているアルバムです。「つぎはぎ」や「Chururi」といったプレイしがいのある曲が多いですね。

再生させてくれた曲

――再会への思いや人々が再生するためのメッセージが込められた曲が多数収録されている同アルバム。中でも「ビューティフル」は困難な時代を生きる人へのストレートなエールソングだ。

北川:昨年、精神的にきつい時期があって、深い海の中にいるような感覚がありました。その時期、地元の横浜にできたKアリーナ横浜でこけら落としライブをやらせてもらったのですが、自分たちが納得できる最高のエンターテインメントをやりきろうと思い、弾き語りやフルバンドにダンサーを加えて160人近い方々と一緒にパフォーマンスをやらせていただいた。そのライブと「ビューティフル」という曲を作ったことによって、新たなゆずの足音が聞こえてきました。「ビューティフル」を作ることが僕にとってひとつの光であり、曲を作ることで浮上していくような感覚があったんです。

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