ライブで「ビューティフル」をパフォーマンスすると、ステージから客席まで躍動感が包み込んでいく。それを見てくれたテレビ局のプロデューサーの方が、「最新曲の『ビューティフル』の躍動感を音楽番組でも披露してほしい」と言ってくださった。落ち込んでいた自分を再生させ、また進んでいきたいと思わせてくれた曲で、それが「十字星」をはじめとする他の曲にも影響を与えています。その激しい変化の後、みんなの日常に寄り添えるさりげない曲を書こうと思って生まれたのが「Chururi」。以前のポップソングと比べてより上質なものにできた手応えを感じました。
岩沢:どの曲もどこかに救いがあります。たとえ重たかったとしても、最後に報われるようなイメージがあるんです。
――10月からは全30公演のアリーナツアーがスタートする。
最新のゆずを届けたい
北川:一番に思っているのは最新のゆずを届けたいということ。こだわって作ったアルバムの世界観はアルバムだけで終わらずにステージのアートワークへ繋がっていく。多くのクリエイターと一緒に図鑑のようにアルバムをひもといてより立体的にしていきます。今までライブに来てくれた人には驚いてほしいし、初めて来てくれた人には「ゆずのライブって面白いな」と思ってもらえるようなエンターテインメントとアートを融合させたものを見せたい。たっぷりと準備をしていきます。
岩沢:「図鑑」によって新しいピースがたくさん生まれたのでライブの幅が広がると思います。これまでの曲と新しい曲の融合がすごく楽しみです。
北川:何カ月も前からチケットを取ってスケジュールを空けてくれて、ライブの日を家族や友達と一緒に楽しみにしてくれているファンの皆さんのことを大切にしたい。僕らが何かをすると喜んでくれて、だからこそまたアルバムを作ってライブをしようと思う。ずっとその大きな循環の中にいる気がします。よく「ネタが尽きないんですか?」と言われるのですが、一度コロナによって粉々にされたその素晴らしい循環の中にまた入っていけることがすごく幸せです。その思いを全部ステージに持っていきます。
(構成/ライター・小松香里)
※AERA 2024年8月5日号より抜粋