地方の不動産は遺産分割さえ成立しない可能性がある。買い手がいないため売ることができず、使い道もないため“負動産”になってしまうのだ。

「都内に自宅を持つ父親が亡くなったのですが、父親は出身地である東北の実家の土地も引き継いでいました。ボロボロの古屋に小さい畑がついている土地です。都内の自宅は時価8000万円ですが、東北の不動産は値段がつきません。相続人である兄弟3人は誰が東北の不動産を相続するのか押し付け合いになりました。都内の実家は誰でもほしいが、東北はその逆ですから」(吉澤さん)

 これから増えそうなケースである。吉澤さんは引き取り手がいないなら、親に頼んで親主導で処分してもらうべきという。

「父親なら地元との付き合いがあるので、隣地の人に相談したり、親戚に頼んで『手続き費用を負担するから引き取ってほしい』などと持ちかけたりすることができます。とにかく親が元気なうちに目途をつけておいた方がいい」

(編集部・首藤由之)

AERA 2024年8月5日号より抜粋

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首藤由之

首藤由之

ニュース週刊誌「AERA」編集委員。特定社会保険労務士、ファイナンシャル・プランナー(CFP🄬)。 リタイアメント・プランニングを中心に、年金など主に人生後半期のマネー関連の記事を執筆している。 著書に『「ねんきん定期便」活用法』『「貯まる人」「殖える人」が当たり前のようにやっている16のマネー 習慣』。

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