夏休みの学習計画の立て方について、教員が説明する様子(写真提供:如意小学校)

「子どもの忠誠心をはかるため」の宿題

 実際、今年から「夏休みの宿題」の抜本的改革を始めた学校もある。

 名古屋市立如意小学校(愛知県)では、1学期の学習内容を網羅的に復習できる、名古屋ではおなじみの教材冊子「夏の生活」を採用しないことに決めた。代わりに教職員が用意したのが、子どもが自分で勉強の計画を立てるためのプリント「夏休みの学習」だ。

 夏休み前、子どもたちは担任のアドバイスを受けながら、「音読」「鍵盤ハーモニカの練習」「朝顔の観察」といった具合に、思い思いの学習予定を書き込んだ。休み中は、進捗状況を保護者がチェックしたり、タブレット端末を通じて担任が確認したりと、周囲の大人が見守る態勢を整えた。

 今回の試みの背景について、大西健一校長はこう語る。

「全員一律で課される宿題に取り組むことも、ある程度学力が伸びたり、決めたことを最後まで取り組む力が身についたりと、一定の効果はあるでしょう。ただ、名古屋市も『自律して学び続ける子ども』という教育方針を示しているとおり、小学校、中学校、高校……と長いスパンで学習意欲を育てることを目指しているので、小学校の段階で学力面の成果にこだわる必要はないと思っています。また、社会の常識や情勢が1分単位で変わる今、小さいころから状況に応じた調整力や決断力を養う必要があるという実感もあります」

 冒頭のXのポストのように、夏休みの宿題そのものを廃止した小学校もある。

 新宿区立西新宿小学校(東京都)は昨年度から、夏休みは自分の関心のあることに取り組むよう指導しており、取り組みの成果物についても提出は任意としている。思い切った決断の裏には、長井満敏校長が昔から抱いていた「疑問」があったという。

「既に知っている漢字を10回20回と繰り返し書かせるような宿題に、果たしてどれだけの意味があるのか。辛辣(しんらつ)な言い方をすると、学校が子どもの忠誠心をはかるためという側面もあるように感じていました」

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