バイデン米大統領が11月の大統領選から撤退し、後継にカマラ・ハリス副大統領を支持した交代劇。リベラル派の米市民たちはどう見たのか。AERA 2024年8月5日号より。
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カリフォルニア州在住で、ユダヤ教のラビとして活動する53歳のローリ・シュネイデ・シャピロは「権力へのハングリーさで出世はしたものの、リーダーシップが不足するカマラではトランプに勝てない」と即答する。バイデンの長年の上院議員としての貢献に感謝しつつも、ハマスに誘拐された米国人の人質がまだ全員救出されずにいることに憤る彼女は、バイデンは年齢的にも勇退すべきだと感じていた。だが、民主党の資金集めの鍵を握る俳優のジョージ・クルーニーを皮切りに、元下院議長のナンシー・ペロシや他の民主党重鎮たちがバイデンに執拗にプレッシャーをかけて撤退させようとするのを見て「年齢差別だ」と感じた。
「トランプに唯一選挙で勝利した実績のある人間を引きずり下ろした。民主党内がそうやって分裂する中、狙撃されたトランプは党大会で『連帯しよう』と呼びかけた。この差は大きいしトランプへのシンパシーが集まった。リベラルを自認してきた自分が言うのも変だけど、どちらの党に投票するか、今回は正直まだ決められない」
一方、11歳と8歳の娘がいる彼女にとって「ポルノ女優とセックスしたことはない」と全米視聴者に向けて嘘をついたトランプに倫理的にも自分が投票できるのかが疑問だという。
「トランプの弾劾の急先鋒だったリズ・チェイニーがハリスの副大統領候補になれば、カマラに投票するけど」と本音も出た。
ミシガン州北部の短大の美術教師を引退した80歳のダグ・メルビンは「バイデンがやっと撤退して安堵感でいっぱいだ。自分が80代になって実感したけど、物忘れが増えたし。彼が続投宣言した時点からやめればいいのにと思っていた」と言う。
ハリスについては「検察官出身だから、犯罪者のトランプと対峙するのが楽しみ。有能な女性リーダーが大統領になるのが見たい。女性や非白人には投票しないという男性はいるけど、彼らは自分の人生の不満を誰かのせいにしたいだけだ」。