更年期は積極的にビタミンD摂取を
ほかにも、カルシウムを吸収し、骨や筋肉を丈夫にする働きがある。免疫システムにも有益とされ、新型コロナウイルスの重症化を防ぐというデータもある。
また、ホットフラッシュや関節痛など、いわゆる更年期の症状を軽くするとみられている。
「更年期は女性ホルモンの減少により骨密度が低下するので、積極的にビタミンDを補充することをおすすめします。ビタミンDは体内で合成される特殊なビタミン。ただの栄養成分ではなく、ホルモンとして認識するのがよいでしょう」(越智教授)
日焼け止めSPF30でビタミンD生成を95%阻害
そんな重要な栄養素、ビタミンDだが、現代人は不足しがちだという驚きのデータがある。
2023年に東京慈恵会医科大学が発表した調査によると、東京都内で健康診断を受けた5518人のうち、なんと98%がビタミンD不足であることがわかったのだ。
夏は紫外線が気になる季節だ。日焼け止めに帽子、日傘、手袋、サングラス……。美肌のために紫外線を徹底防御している人も多いだろう。
だが、過剰に防御すれば、冒頭のようにビタミンDが不足する恐れがある。
越智教授はこう指摘する。
「SPF30の日焼け止めで95%、ビタミンDの合成を阻害します。SPF50ならビタミンD合成は全くできてないと思ったほうがいいですね」
UVをカットした時点でビタミンD合成も止まると思ってよいという。
日光浴の推奨時間は1日15~30分
では、体に必要なビタミンDを合成するために、どのくらい日光浴をすればよいのだろうか。
必要な時間は、季節や場所によって大きく変動する。国立環境研究所の調査によれば、10μgのビタミンD生成に必要な日光照射時間は、夏の沖縄で約5分、冬の北海道で約139分と大きな開きがある。ちなみにこの数字は晴天時に顔と両手の甲を出した場合の比較だ。肌を露出する面積が広く、南に行くほど日に当たる時間は短くて済む傾向があると考えられる。
越智教授によると、推奨される日光照射時間は春夏の東京であれば、1日平均15分程度、秋冬なら30分程度。顔と手のひら・手の甲に日焼け止めを塗らず、露出した場合の目安時間だ。