天皇ご一家や皇族方が、夏のご静養に入る季節になった。ご静養先の一つが、「避暑地」として知られる栃木県・那須地域にある那須御用邸だ。しかし、築100年近い建物は老朽化が進んでいるうえに、これまでエアコンも設置されておらず、ご一家は「猛暑」を扇風機で乗り切ってきたという。心配した住民が「建て替え」を求めて署名活動をするほどだったが、ようやくエアコンの入った建物でご静養することができそうだ。
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「以前、栃木県にある那須の御用邸に行き、その着いた晩に、縁側にあるソファーで寝てしまい、そのまま翌朝を迎えた、なんてこともございました」
2022年3月、20歳の成年を迎えた天皇、皇后両陛下の長女、愛子さまは、那須御用邸での思い出をユーモアたっぷりに明かした。
朝までうたたねしてしまうほど、穏やかな時間の流れる避暑地の那須御用邸。その敷地には、1926(大正15)年に当時皇太子だった昭和天皇のご静養のために建設された「本邸」と、昭和天皇がお子さま方のために1935年に建てた「附属邸」、休憩所である「嚶鳴亭(おうめいてい)」がある。昭和天皇の生物研究の拠点としての機能も備えた設計だったとされる。
そんな由緒ある建物だが、本邸は建てられてから100年近く、附属邸も築80年を超えている。宮内庁によれば、現在、上皇ご夫妻が「本邸」、天皇ご一家が「附属邸」をお使いだという。
気温30度超でもエアコンなし
那須地域の農家でつくる「那須嚶鳴(おうめい)会」の前会長の市村利男さんは、上皇ご夫妻との懇談などのため、那須御用邸に何度も足を運んだことがある。
「窓の枠は木製。由緒ある建物とはいえ、まるで昭和初期の木造校舎の小学校のようでした。確かに昔は扇風機も要らないほど涼しい土地でしたが、全国で40度を超える酷暑日が増加する今、那須地域でも最高気温が30度を超えることも珍しくありません。なのに、エアコンも設置されておらず、日本の象徴である方が、これほど質素な建物に滞在なさっていることに驚きました」