深みのある歌声と歌手顔負けの歌唱力は、キム・スヒョンの武器。この日は「All of Me」「Wherever You Will Go」など7曲を披露。イベントの最後を飾った「Way Home」は、「涙の女王」の最終話のために、キム・スヒョンが10年ぶりにレコーディングした曲だ (c)GOLDMEDALIST

“涙の王子”の涙

「キム・スヒョンコール」が響く中、アンコールがスタート。「ギンギラギンにさりげなく」をBGMに、トロッコに乗ってアリーナを回りながら、ボールを客席に投げ入れていく。4階席まで飛ばそうと振りかぶったり、ハートポーズで愛嬌を振りまいたり。その瞬間を楽しんでいるのが手に取るようにわかり、こちらも自然と笑顔に。観客たちの笑顔に感極まったのだろうか、トロッコを降りサブステージに上がると、突然泣き出してしまうキム・スヒョン。「昨日は我慢していたのに」と声を詰まらせながらも、「僕の出来がいいわけでも、僕一人の力でここまできたわけでもありません。皆さんの愛や応援の力のおかげで、僕はここにいられます。そして舞台裏にいる100人のスタッフ、韓国にいる100人のスタッフにも感謝を申し上げます。今日、皆さんからいただいた大きな力を糧に、いい作品、いい演技で皆さんにお返しできるよう、これからもベストを尽くします」とまっすぐな目で最後のメッセージを伝えた。

 ラストソングは、「涙の女王」の挿入歌「Way Home」。観客たちの顔を目に焼き付けるかのように端から端まで見渡しながら歌うと、最後は「お疲れサマンサ」ダンスをしておどけ、ステージ裏へと帰っていった。

ヒョヌに負けない魅力

 観客たちの多くは「涙の女王」をきっかけにキム・スヒョンのファンになった“ご新規さん”。それを知ったキム・スヒョンは、イベント冒頭「正直、少し悩ましくもあります。ドラマを観て“素敵だな”“かっこいいな”と思ってファンになってくださったと思うのですが、実際の僕はふざけるのが好きなんです」と話していた。心配するのも無理はない。「涙の女王」で演じたヒョヌは、頭脳明晰で運動神経抜群。誠実で、献身的でヒロインに一途、という“最高にいい男”だからだ。だが、キム・スヒョンもまた、ヒョヌに負けないくらいの“いい男”であることを、今回のファンミーティングで十分証明できただろう。おちゃめでノリが良く、サービス精神旺盛。誠実で、謙虚で感動屋。そんなキム・スヒョンの魅力にすっかり落ちた一日だった。(ライター・酒井美絵子)

AERA 2024年7月29日号

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