米共和党全国大会が行われているミルウォーキーの会場周辺で。2016年の共和党大会と比べて、会場外は穏やかだった(写真:Morgan Freeman)
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 トランプ前大統領暗殺未遂事件の2日後に開幕した共和党大会。11月の大統領選に向かって「確トラ」機運を盛り上げている。AERA 2024年7月29日号より。

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 政治情報サイト「リアル・クリア・ポリティクス」によると19日(米東部時間)現在、トランプ氏の支持率は47.7%で、バイデン氏の44.7%に3ポイントと大きく差をつけ、誤差の範囲を超えている。共和党大会が開かれているウィスコンシン州を含むスイング・ステーツ(激戦州)は7州全てでトランプ氏の支持率が、1.7~6.0ポイントもリード。20年の大統領選では、バイデン氏が7州中6州を制したが、今年は競り合いもなく、民主、共和のどちらに振れるか分からないというスイング・ステーツはもはや消滅している。

「リアル・クリア・ポリティクス」の集計では、トランプ氏の暗殺未遂事件直後、支持率の変化は見られない。しかし、共和党大会の空気は、トランプ勝利を確実とする「確トラ」ムードに満ちていた。

「共和党は、トランプの下、今までになく強く、団結している!」

 と、副大統領候補に選ばれたJ・D・バンス上院議員は受諾演説で拳を振り上げた。人々の顔は、すでに勝利したかのように輝き、興奮に包まれている。

バイデン氏には逆風

 一方、バイデン氏には逆風が吹き続けている。6月末の大統領候補者テレビ討論会で、言葉に詰まり、発言の辻褄が合わず、大統領としてあり得ない姿をさらした。7月中旬の北大西洋条約機構(NATO)首脳会議では、ウクライナのゼレンスキー大統領を「(ロシアの)プーチン大統領」と紹介。汚名返上のためのテレビインタビューでは、相変わらずしどろもどろで危なっかしい。さらに17日には、選挙戦で訪れていた西部ネバダ州で新型コロナウイルスに感染していることが判明した。

「かみそりの刃のように薄いチャンス」(ロイター通信)しか勝利の率はないというバイデン氏。銃弾に貫かれた後、立ち上がり、「ファイト!」と口を動かしたトランプ氏に比べ、あまりにも弱々しく、首脳の名前を言い間違えるなど認知能力にも懸念が及ぶ。テレビ討論会後、盛り上がった大統領選から撤退を求める声は、トランプ氏暗殺未遂事件の後、さらに強まった。

 バイデン大統領は21日午後(日本時間22日午前3時)ごろ、Xで選挙戦から撤退する考えを明らかにした。

 バイデン氏の後任がどう巻き返すのか不透明だが、ミルウォーキーは、暗殺未遂事件という恐ろしい出来事の後にもかかわらず、「勝利」ムードに満ちていた。(ジャーナリスト・津山恵子=米ミルウォーキー)

(写真:ロイター/アフロ)

AERA 2024年7月29日号より抜粋し加筆

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