ダンサーとして俳優として活躍する森山未來さん(撮影/写真映像部 佐藤創紀 ヘアメイク/須賀元子 スタイリング/杉山まゆみ )
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 5歳からさまざまなダンスを学んできた。15歳で本格的に舞台デビューし、2013年には文化庁文化交流使として1年間イスラエルに滞在する。ダンサーとして、俳優として存在感を示す。

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ダンサーとして、俳優として

――「モテキ」や「怒り」「アンダードッグ」「世界の中心で、愛をさけぶ」…。どんな作品でどんな役を演じても、森山未來には強い「存在感」がある。ダンサーとして、俳優として、表現者としての道のりをこう振り返る。

森山未來(以下、森山):5歳からダンスを、11歳から芝居を始めました。

ダンスと芝居、どちらも続けていく中で、お互いにさまざまなフィードバックを与え合っている実感がありました。そして10代後半から20代中盤まで、幸運にもドラマや映画の仕事が増えていきます。

今の身体でやれる表現がある

──「苦役列車」の撮影にあたり三畳一間風呂無しのアパートに住んだり、「怒り」のクランクイン前に無人島で生活する等、演じる役の環境に身を投じる役作りをしていた時期があった。

森山:役者は、たとえばボクサーのように毎日体を鍛えている人を演じることもあれば、体をずっと動かさずにどんどん下へ降りていくような人物を演じることもあり、何かのネジが飛んでしまったような人殺しを演じることもあります。

 脚本や監督の思想に則って演技し、演じる対象に体をどんどん近づけようとします。やろうと思えばどこまでも近づくことはできて、それがボクサー役ならいいかもしれませんが、それがもし浮浪者役なら体はどんどん使いものにならなくなっていきます。

 一方でダンサーは、どんなにやさぐれていようと最終的にはヘルシーな体を担保していなければいけない。

 芝居をする時間が長くなるにつれて、日常的に触れていたダンスから遠ざかっていくことになり、「自分の身体をどう見つめたらいいか」に悩みました。そんな中、「コンテンポラリー」という概念に出会い、今ある身体でやれる表現があるということに気付いた。20代中盤から自分の身体表現を見つめ直し始めました。

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