新しい形の「劇場型首長」となるか

調整能力や柔軟さも必要な資質

「劇場型」の手法は、安易なポピュリズム(大衆迎合)として危険視されることもあるが、民意をきちんと反映できるメリットもある。元鹿児島県庁職員として、安芸高田市と同じく人口2万人台の市に出向した経験を持つ有馬氏は、「小規模な自治体ほどしがらみが多く前例踏襲が続いていく傾向にあるので、改革には石丸さんのような人が必要」とも話す。

 しかし、予算や条例の議決権を議会が持っている以上、首長と議会の対立が深刻化すれば、冒頭でAさんが語ったように政治が進まなくなる。

「頑張って議会と戦う姿に拍手喝采をおくるだけでなく、『これでは市政がストップして市民に迷惑がかかるのでは?』『調整能力や柔軟さも首長に必要な資質では?』と、冷静に政治を見る人が増えてほしいというのが私の願いです」(有馬氏)

 今後、石丸氏のような「劇場型首長」が現れたとき、トップとしての資質をどう評価すべきなのか。試されているのは、われわれ有権者だ。

(AERA dot.編集部・大谷百合絵)

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大谷百合絵

大谷百合絵

1995年、東京都生まれ。国際基督教大学教養学部卒業。朝日新聞水戸総局で記者のキャリアをスタートした後、「週刊朝日」や「AERA dot.」編集部へ。“雑食系”記者として、身のまわりの「なぜ?」を追いかける。AERA dot.ポッドキャストのMC担当。

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