ハーフタイムショーのサプライズゲストは、番組でたびたび話題になっていた「テツandトモ」。ギターが「ジャッ」と鳴っただけで、登場を予感していた互助会員から悲鳴に似た歓声が。「OTSなんでだろう」を披露後、「会えた~会えた~」と同世代の中年男女4人が輪になって回りながら喜ぶ姿には、観客から温かい拍手が送られた。
都内在住の43歳の会社員女性はOTSの魅力をこう語る。
「子どももいてキャリアもありすべてに恵まれている女性に見えるのに天然な堀井さんにスーさんがツッコむ、その二人のやりとりが好き。孤独な産休中に癒されました。シングルマザーの友人も『これが頼り』と言っています」
同じく都内在住の52歳の女性は、「配信がある毎週金曜日、『よくぞ、よくぞ金曜日までたどり着きました』というスーさんの声で自分の一週間が報われた気になる。生活の句読点として欠かせない存在」と語る。
普通に考えておばさんおじさん3千人で運動会をやるという「無謀」「危険」としか考えられない企画が、なぜ実現するのか。そこには思いつきを現実化するOTSのエグゼキューション力が関わっている。「リスナー、スポンサー、パーソナリティー三方良し」といわれるこの番組では、リスナーは単なる消費者ではなく、このコンテンツの当事者として何ができるか考える。今イベントの協賛企業の中にも、互助会員の社員が50代男性部長を取り込むなど着実に社内広報にいそしみイベント協賛にこぎつけた例が番組内で紹介された(Ep.194)。
長年マーケティングの世界ではF1層(20~34歳の女性)が特に重視され、それ以降の世代の女性の市場がまるで存在しないか、「既婚者」「母親」といった標準世帯モデルの役割でしか理解されてこなかった。しかし年齢を重ねてもそこに確実に、そして多様なありようで女性は存在し続けている。今回のイベントはその現実を可視化したといえよう。OTSは「おばさん」という蔑称をユーモアもまじえたポジティブな意味に転化し、加齢は(体力等の衰えも含めて)冒険に満ちた新世界への船出でもあることを示したことで、同世代からの共感を集めただけでなく、若い女性に対しても「女性が年齢を重ねることは怖くない」という無言のメッセージを発しているのだ。