ブレイキン:敵味方向かい合ってのダンスバトルが新鮮な新種目。半井らダンサーたちの人々の予想を超えるアクロバティックさと創造性は必見だ(写真:松尾/アフロスポーツ)
この記事の写真をすべて見る

 パリ五輪がまもなく開幕する。選手たちは東京五輪から異例の3年間で準備を重ねてきた。自国開催だった東京五輪では金27個を含む過去最多の58個のメダルを獲得した日本代表。パリではその分、連覇がかかる競技も多い。パリの地で躍動し、凱旋するのはどの選手か。AERA 2024年7月22日号より。

【写真】この記事の写真をもっと見る

フォトギャラリーで全ての写真を見る

*  *  *

 メダルに期待がかかる競技は多い。スケートボードも有力競技の一つだ。東京五輪から採用された競技で、階段や手すりなど街中を模したようなコースを滑って技を披露する「ストリート」、凹凸のあるすり鉢状のコースで技を競う「パーク」の2種からなる。東京五輪では男女各2種目で金3個を含む五つのメダルを獲得した。

 大きな見どころは東京五輪男子ストリートで初代王者となった堀米雄斗の連覇なるか。22年からの代表選考レースでは苦戦が続き、一時はパリ行きをあきらめかけたが、6月23日の五輪予選シリーズ最終戦で優勝。大逆転でパリ行きの切符をもぎ取った。逆境をはね返す不屈の精神で、再び表彰台の真ん中でクールにほほ笑む堀米を見たい。

 女子では、東京五輪パーク金メダリストの四十住さくらの連覇に期待がかかる一方で、ストリート金メダリストの西矢椛は代表入りを逃した。スケートボードの選手層は厚く、25歳の堀米でさえベテランの域に押しやられるほどに、ローティーン含む10代の選手が次々と台頭。男子ストリートの14歳・小野寺吟雲ら“新顔”のフレッシュな滑りも楽しみの一つだ。

新競技で期待の日本勢

 新顔といえば、パリ五輪から採用されたブレイキン。ブレイクダンスとも呼ばれ、音楽に合わせて倒立しながら回転したり、跳ねたり、アクロバティックな採点競技だ。DJが流す音楽に合わせて即興で踊り、ダンスの創造性やテクニックなどさまざまな基準で採点される。

 日本代表には男女ともに世界大会の優勝者が名を連ね、メダル量産も現実的な目標だ。Shigekix(シゲキックス)こと半井重幸は18歳で国際大会優勝、全日本選手権は23年まで3連覇と抜群の実績をひっさげてパリに立つ。片手で体を支えながら静止する「フリーズ」など、超人的な動きは必見で、競技中に時折シャツからのぞく、鍛え抜かれた腹筋も見逃せないポイントかもしれない。

著者プロフィールを見る
秦正理

秦正理

ニュース週刊誌「AERA」記者。増刊「甲子園」の編集を週刊朝日時代から長年担当中。高校野球、バスケットボール、五輪など、スポーツを中心に増刊の編集にも携わっています。

秦正理の記事一覧はこちら
暮らしとモノ班 for promotion
香りとおしゃれ感を部屋にもたらす!Amazonでみんなが「欲しいアロマディフューザー」ランキング
次のページ