「もう二度と行かせませんから」

 またある晩、Aさん家族が家の近くにあるファミレスで食事をしていたときのこと。近くの席で、家に遊びに来たことのある男の子も両親と食事をしていた。息子と男の子が最初に気づき、親も会釈して、家族同士の会話が始まった。

「会話をするうちに、『家に遊びに来てくれたことがあったよね』という話になりました。すると男の子のお母さんが『はっ!』という表情になり、深々と頭を下げられたんです。そして『あとで息子からお宅にお邪魔したと聞きまして、本当に申し訳ありませんでした。もう二度と行かせませんから』と丁寧に謝罪されたんです。予想もしなかった展開で、何と言っていいのか分かりませんでした」

 50代のAさんが小学生だったころは、当然ながら年号は昭和だった。学校で友達と今日はどっちの家に遊びに行くかを決め、相手の家に行く時は自転車で飛びだした。低学年の時は土曜日が“半ドン”だったため、昼食を食べて友達の家に行ったり、友達が家に来たりした。そんな思い出を脳裏に浮かべ、まさに「昭和は遠くなりにけり」を痛感したという。

 実際、小学生が友達の家に遊びに行くことが減った、という調査結果がある。

 2019年、厚生労働省は小学校3年生を対象に「放課後に過ごす場所」を調査し、約2万4000人から回答を得た。その結果、「放課後に友達の家に行く」は01年度に生まれた子は50・6%だったが、10年度に生まれた子では29・1%に減少したという。

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親が「家に友達を呼んでほしくない」