エンターテインメントがそのまま人のかたちを取ったかのような佐久間大介さん(Snow Man)。エネルギーにあふれ、見る者を明るく元気にするアイドルが「常にプラス」な理由は──。AERA 2024年7月22日号より。
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「表現に、溺れたいというか……いや、1ミリ合ってないんだよな。溺れると動けないから」
7月5日の誕生日を前にした取材で、32歳の抱負を尋ねると、佐久間大介は今年公開されて高い評価を得た出演映画「マッチング」に触れ、「お芝居での表現がより好きになって、すごく意欲的になったので、もっとお芝居をしたいなって」と答えたあと、組んだ指の先で手の甲を静かに叩きながら、しばし沈思黙考した。
「……表現を、あふれさせたいというか。もっともっと、表現というものを近い存在にできたらいいなって思います」
慎重に言葉を選ぶさまに、昨年12月に始めた、80万人超のフォロワー数を誇るXでの投稿姿勢が重なる。「よりファンの人が喜ぶように」、だが「ファン以外の人の目にも届くからこそ」、「やりすぎない。でも、ここはちゃんと攻めたほうがいいなってことがいっぱいあるから、その塩梅はちゃんと考えてやってる」と言うとおり、読み手を楽しませるエンターテインメント性と気配りとに満ちている。
「でも、いちばん大事にしてるのは、好きなものだけを言えばよくないか、ってこと。嫌いっていらなくないか、って。共感されたくてとか、目立ちたくてとか、あるだろうけど、なんで誰かにとって大切なものを否定しなきゃいけないんだろう。人の個性を大切にして、尊重したほうが、ずっと平和な世界でいいと思う」
自分が理解できないことでもわかりたい、と言う。その理由も「ふとしたときに興味持つ可能性があるし、どハマりする可能性もある。そのときに、より楽しいものを知れてよかった、って思えるから」だ。
「僕、嫌な出来事とかないんですよ。すごく良くないことがあったとしても、例えば、ここでこれができなかったのは、辞めるタイミングだったんだ、とか、絶対に全部、なんかしら意味がある。無駄なものないですね。人生を充実させようとしてるから、後悔する気がない」
日頃から「アイドルの理想形がある」と口にしている佐久間らしい言葉だ。(編集部・伏見美雪)
※AERA 2024年7月22日号