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 働き手不足が深刻化し、「働き方」の決定権が個人にシフトする中、就職面接にも変化が起きている。新卒者が面接官を選べる取り組みを始めた会社がある。導入の背景には何があるのか。AERA 2024年7月22日号より。

【就活生が会社を選ぶ時代がきた!】面接官に重要な心得とは

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 4月に公開された1分ほどのショート動画「逆面接」が話題になった。

「令和XX年、少子高齢化により、就活生が会社を選ぶ時代になった」という設定。スーツ姿の3人の中年男性が「失礼します!」ときびきびとした動作で面接会場に入室するシーンから始まる。横柄な態度で面接官席に座るカジュアルな服装の若い男性が「じゃあ、皆さんの会社に入るメリットを教えてください」と質問すると、中年男性がそれぞれ自社の「働きやすさ」や「やりがい」を熱心にアピールする、という展開。

 制作したのは映画「カメラを止めるな!」で監督を務めた上田慎一郎さんだ。「就活生が会社を選ぶ時代」というこの動画のテーマは、エンタメとして誇張されているとはいえ、人材獲得競争が厳しさを増す日本社会の一面も映し出す。

マッチングで納得感

 じつは、新卒者が面接官を選べる制度を既に導入している会社もある。企業のDX推進を支援する「ナイル」(東京都品川区)は、25年卒採用から学生が1次面接の担当者を選べる取り組みをスタートした。同社は、就職採用選考の合否判断を委ねる面接官が運次第で決まる「面接官ガチャ」という言葉がSNSなどで使われていることに着目。就活生の「面接官ガチャ」の不安を回避し、学生と企業の双方が納得するマッチングを行いたいと考えた。

 1次面接に進むことになった学生が、約20人の面接官情報を掲載したサイトを閲覧し、希望する社員を5人ほどピックアップする。学生が希望する面接日時に都合の合う面接官を会社側で選び、誰が面接官になったかを事前に共有する。面接官情報には「入社前のキャリア」「入社後の担当業務」「仕事で最もやりがいを感じた瞬間」「学生時代に取り組んだこと」「趣味や休日の過ごし方」などを掲載。サイトには「会社に人選を任せる」という選択肢も設けている。

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渡辺豪

渡辺豪

ニュース週刊誌『AERA』記者。毎日新聞、沖縄タイムス記者を経てフリー。著書に『「アメとムチ」の構図~普天間移設の内幕~』(第14回平和・協同ジャーナリスト基金奨励賞)、『波よ鎮まれ~尖閣への視座~』(第13回石橋湛山記念早稲田ジャーナリズム大賞)など。毎日新聞で「沖縄論壇時評」を連載中(2017年~)。沖縄論考サイトOKIRON/オキロンのコア・エディター。沖縄以外のことも幅広く取材・執筆します。

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