子どもの服や靴を支援した際、年齢から想像するよりもずっと小さなサイズで申請されているのを見て、子どもたちが必要な栄養が摂れていない現状を痛感するという。

エアコン使わず保冷剤で

 食費もさることながら、困窮世帯は光熱費を削ってしまうことが珍しくない。

「もう何年も冬は暖房をつけていません、という声があるのと同様に、夏でも冷房を使っていない困窮子育て世帯は多いです」(渥美さん)

 現在、公立小中学校における普通教室の冷房設備設置率は95.7%(22年9月)。なので、学校にいる間はなんとかなる。ところが、キッズドアの調査では、回答者の64%が「(自宅で)エアコンをつけないようにしている」という。

「エアコンはアパートに備え付けですが、入居してから7年、1度もコンセントを入れたことがありません」

「熱中症が怖いのですが、なるべくエアコンを使わないで扇風機や保冷剤でやり過ごすようにしたい。けど去年も電気代が上がるということで、それをやったら娘が熱中症になり、点滴になったので、うまく考えたいです」

 調査の回答には、そんな言葉が並ぶ。

 日中は児童館や図書館を利用して暑さをしのぐ子どもたちもいる。

「都市近郊であれば、ショッピングモールのフードコートで1日過ごしたりするお子さんがたくさんいます。でも、地方だと、子どもだけで移動することがなかなか難しい」(渥美さん)

無関心とバッシング

 そんな苦しい家庭の状況にもかかわらず、生活保護を受けていない世帯は多い。

「私たちも生活保護を受けたほうが楽なのではないかな、と感じることがよくあります。でもみなさん、踏ん張って生活している」

 困窮する子育て世帯は、

「もう本当にひっそりと暮している、というのをすごく感じます」

 と、渥美さんは言う。

 一方で、子育て世帯を支援しているキッズドアに対して、「何をやっているんだ」とバッシングするメールが届く。ネット上に支援の記事が出ると、「働かなくて楽をしている」というような非難のコメントが書き込まれるという。

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進む子育て世帯の二極化