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 ChatGPTの登場と同時にAI(人工知能)が仕事を奪う論争が過熱しています。今回は、本当にそのような現象が劇的に起きているのかを考えていきます。

【写真】メンサの試験をパスしたほどの頭脳の持ち主が生成AIについて語る

 2010年代後半からAIが人の仕事を奪うという懸念について、絶え間なく議論がされてきており、様々な分野の研究者が論文を発表しています。例えば、数年以内にノーベル経済学賞を受賞すると噂されているMIT(マサチューセッツ工科大学)のDaron Acemoglu教授は2019年に発表した論文でこのようなことを述べています。

 人工知能は、私たちの生活のあらゆる側面に影響を与えるように設計されている。(画像処理・翻訳・マッチングなどを提供する)技術プラットフォームとしてのAIは、これまで労働者が行っていた作業を自動化したり、人間が生産的に働ける新しい作業や活動を生み出したりできる。しかし、最近の技術変化は自動化に偏っており、労働者が生産的に働ける新しいタスクの創出に焦点を合わせていない。この選択の結果、労働需要が停滞し、国民所得における労働分配率が低下し、格差が拡大し、生産性の伸びが低下している。現在、AIはさらなる自動化の方向に向かっているが、これはより良い経済的・社会的成果をもたらす「正しい」タイプのAIの可能性が見過ごされていることを意味する

  たしかに世界では所得格差が広がっている国も存在し、日本の非正規雇用の増加には実は技術革新の影響があると報告する論文も存在します。近年では生成AIであるChatGPTの凄さに衝撃を受け、ホワイトカラーの雇用が激減すると予測するレポートも出てきています。しかし、この過熱する“懸念”に対して、ある記事が話題になりました。

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