向かって左より
岩橋道子 浦川拓海 中野順一朗 桜一花 林大樹 武藤直樹 弘中麻紀 岩本淳 松村武 大草理乙子 谷川清美 木村靖司(撮影/木村洋一)
ラッパ屋第49回公演「七人の墓友」
【日程】2024年6月22日(土)~6月30日(日)【会場】紀伊國屋ホール 【脚本・演出】鈴木聡
この記事の写真をすべて見る

 TOKYO FMのラジオマン・延江浩さんが音楽や映画、演劇とともに社会を語る連載「RADIO PAPA」。今回は演劇「七人の墓友」について。

*  *  *

 来月はお盆。帰省して実家に帰って、親と食事して、地元に残る友達に会って、お墓まいり、ということなのだろうが、先祖の墓がなくなったとしたら……。

 墓じまいという話もちらほら聞くし、樹木葬ならそもそも墓石はなく、果たしてどうすればいいのだろう。

 花を手向けて線香をあげ、墓石に水をかけ、住職に挨拶し……。それを半ば無意識にやってきたけれど。

 そんな中、鈴木聡脚本・演出の「七人の墓友」を観た(ラッパ屋第49回公演 紀伊國屋ホール)。

 10年前に脚本を書き下ろしたという鈴木はこう言う。

「『お墓』のことは『家』と密接な関係があります。僕ら一人一人の人生は個人のものである、家に所属しているわけではない、という意識が『〇〇家』と刻まれた墓石より、大きな自然を象徴する『樹木』の下に眠る(あるいは眠っていただく)選択を促しているように思うのです」(「七人の墓友」パンフレットより)

「それは『家族の在り方の変化』にも関係してきます。同じ時代の同じ家に暮らしていても、今や家族の価値観はバラバラです」(同)

 うーむ。

次のページ
「家族」と「家」は違う