オールスターに選出され会見する日本ハムの選手たち。左から、万波、山崎、マルティネス

月別の防御率が6月は悪化

 采配の全権は監督にある。ただ、選手個々の状態を把握している投手コーチ、打撃コーチの意見が貴重であることも確かだ。日本ハムの救援陣の月間別防御率を見ると、5月の2.32から6月は3.54に悪化。7月は改善傾向にあるが、先発陣が踏ん張れない試合が続いている。

 打線に目を移すと、新庄監督は「日替わりオーダー」を敢行している。選手の状態、相手投手との相性を複合的に分析し、独特の感性で打順を組む。

 この采配で抜擢され、素質を開花させた選手が次々に現れている。現役ドラフトソフトバンクから昨オフに移籍した水谷瞬は5月21日に2度目の1軍昇格後、上位打線で起用されて交流戦史上最高打率.438をマーク。中日から昨年のシーズン途中にトレードで加入した郡司裕也も1番から8番まであらゆる打順で役割を全うし、三塁の定位置をつかんだ。昨年まで5年間で31試合の出場のみだった捕手の田宮裕涼も、今期は66試合に出場、打率.324のハイアベレージをマークしている。

「新庄監督にしかできない」と周囲を驚かせた采配もあった。6月22日の中日戦では、ファームで打率.170と結果を残していない福田光輝を1軍に昇格させ、すぐに「8番・二塁」でスタメンに抜擢。この用兵術がズバリ的中し、1点ビハインドの2回2死二塁で左前に同点適時打を放つなど、2安打2打点の活躍で勝利に貢献してお立ち台に立った。翌23日も2試合連続のマルチ安打をマークした。

裏目に出ている好機での強硬策

 とはいえ打線は水ものだ。最近10試合では3得点以下が7試合と、つながりを欠く。「日替わり打線」に批判の声も出てきたが、オリックスの中島聡監督も「日替わり打線」で昨季までリーグ3連覇を飾った。ただ、日本ハムの場合は、個々の選手の打撃技術が指揮官の求める水準に達していないのも事実だ。

 昨年までは「セコセコ野球」と称して1点を確実に奪う采配が見られたが、今年は試合の序盤で好機を迎えても犠打で送らずに、選手の裁量に委ねることが多い。勢いに乗っていた春先は躍動感あふれる野球で得点が面白いように奪えたが、白星から見放されると好機での強硬策が裏目に出て得点を奪えない場面が目立つ。チームに勢いが失われた時、どのような形で得点を奪うか。発展途上のチームが見つめ直さなければいけない課題でもある。

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