東北新幹線に乗ると、関東ではなかなか見られない大きな大きな空と、美しい山々の姿が見られます。車窓はまるで額縁のようで、自然は動く絵画とでもいいましょうか。まるで美術館にいるような気持ちになってきます。明石へ足を運んだときは、窓から眺めた水平線の美しさに思わずため息が出ました。水面がキラキラと反射して本当に美しかった。一方で、工場や住宅と自然が混在する地域も見ごたえアリ。規則性のない自然物と、規則性に縁どられた人工物が次から次へと交差するのがリズミカルで、音楽を聴いているよう。
車窓美術館、こちらが歩かなくても勝手に額縁の中が動いてくれるので便利です。51歳にもなって己の好みを新たに発見するとは思っていませんでしたが、私は横方向に景色が流れていくのを見るのが好きなのでしょう。我ながら変な好みです。子どもの頃はそんな趣味はなかったのに。
新大阪から乗る特急くろしおを調べてみると、車窓から美しい海岸線が見られるとありました。とても興奮して窓側の席をとったけれど、残念ながら海岸線が見られるのは私が下車した海南駅から先だったようです。次は必ず、海南より先まで行かなくちゃ。
※AERA 2024年7月15日号