たとえば6月30日に銀座4丁目交差点で行われた蓮舫氏と石丸氏の街宣を見ても、演説を聞いている人数は蓮舫氏のほうが圧倒的に多く、3時間後に行われた石丸氏のほぼ2倍が集まった。石丸氏の演説には「石丸さんだ」と気付く人は数人いたが、いずれも足を止めて演説を聞こうとしなかった。
にもかかわらず、石丸氏が圧倒的にパワフルに見えるのは、1日に約10カ所も都内を回っている点だろう。奇妙なことにほとんどの演説会場で、集まる人数は平日も休日も関係なくほぼ一定。しかも平日の午後に1時間以上前から、石丸氏の演説を待つ人もいた。
蓮舫氏への“手塚ブロック”とは
同氏を取材した記者は、「同じ人が朝から夕方まで演説会場を“はしご”していた」と証言する。「ある演説会場で石丸さんが『初めて来た人はいますか』と聞くと、何人かが手を挙げた。次の演説会場に移動しようと電車に乗ると、その人たちが同じ車両に乗っていたんだよね」
別の記者は「演説会場で『どこから来たのですか』と聞くと、東京都ではない場合が多かった。あるいは日本の選挙を珍しがって見ていたアジア系のインバウンド観光客だった」と述べた。確かに聴衆の中心はそういう人たちだったに違いない。そしてそれを遠巻きに、ベビーカーを押した若い母親など地元の有権者たちが石丸氏の演説を聞いていた。
一方で蓮舫氏は、石丸氏ほど街宣を行っていない。その理由を関係者に尋ねると、「本人はもっと演説をやりたいと思っているようだけど、“手塚ブロック”があるからねえ」と残念そうに答えた。手塚仁雄・立憲民主党東京都連幹事長が選挙の全てを握っているというわけだ。
おそらくはタレントだった蓮舫氏の「知名度」を期待して露出を抑える戦法なのだろうが、その効果は果たしてどうか。蓮舫氏は2010年の参院選では、東京選挙区で171万734票をたたき出した。だが2022年の参院選で獲得したのは67万339票と、最盛期より100万票以上も減らしている。