新NISAを機に投資を始めたばかりの人がこういった分析・調査をするのはハードルが高いだろう。そこで今回は、松井証券投資メディア部の江塚仁美さんに協力を仰いだ。“短期で10倍高”など派手な株価上昇は狙わない。利益面でも配当面でも優秀で、企業そのものに体力があり、安心して長期保有できそうな銘柄は? プロの視点で検索条件を指定してもらおう。
「基本条件として、東証プライム(旧東証1部)上場で時価総額1兆円以上。利益面でEPSは今期より来期が伸びているか」
「タコ足配当」を除外
EPSは前述の通り、配当太郎さんも重視している項目だ。実際に買うときは、決算短信や「会社四季報」などを見て、できるだけ長期にわたり利益が伸びている銘柄を選びたい。
「『益利回り』と配当利回りを比較し、益利回りのほうが大きい銘柄が残るようにしましょうか。益利回りとは1株当たり利益を株価で割ったもの。これより配当利回りのほうが高いと、利益以上に配当を出していることになります。この条件により、いわゆる『タコ足配当』の企業をある程度は除外できます」
「自己資本比率(低すぎない)と有利子負債比率(高すぎない=借金が多すぎない)の条件も加えます。さらに『売上高成長率が3年以上伸びているか』『営業利益成長率が5年以上伸びているか』も見ます」
これらの条件でスクリーニングすると、事業の性質上、金融(銀行・証券)や保険会社が抜け落ちる。どうすれば?
「銀行・保険関連は有利子負債比率、売上高成長率、営業利益成長率の条件をはずします。このセクターは規模重視で選んでもいいと考えます」
こうして絞った30銘柄の配当利回り1位は日本たばこ産業だった。また、自動車や金融機関、通信が複数ランクイン。
「日本たばこ産業は2022年12月期決算で増配でしたが、23年1月中旬の配当利回りは7.4%でした」(江塚さん)
嫌煙家に好かれない銘柄だが投資は投資と割り切る層は存在する。三菱UFJ、東京海上、KDDIは配当太郎さんもXなどで触れる銘柄だ。
なお個別株への投資はできるだけ業種を分散し、複数の銘柄に。主要ネット証券4社で1株から売買できるサービスがある。(金融ジャーナリスト・大西洋平、編集部・中島晶子)
※AERA 2024年2月12日号