返礼品の「3割ルール」を超えて問題となった温泉利用券

元課長が商品券を持ち出しパソコン購入

 また、商品券を見ると、発行者として「洲本市」ではなく、「洲本市魅力創生課」と記され、役所のひとつの課が発行しているように見える。

 実際、この魅力創生課のS元課長(23年3月で退職)が、商品券を私的に流用していたことが発覚している。
第三者委員会や市議会の調査で、S元課長が、あわせて104万円相当の商品券を持ち出し、パソコンとプリンターを市内の事務用品店で買っていたことが明らかになった。これ以外にも、S元課長が、商品券でパソコン2台を買ったことや、イベントでの食事代や民間企業のために消耗品を購入していた疑惑も浮上している。

 これについて市は、
「管理がずさんだったことは、その通りです」
 と認める。商品券を私的に使った疑いがあるS元課長は、市民から兵庫県警に刑事告発された。

温泉利用券の「使途不明」も発覚

 一方、洲本市がふるさと納税から除外される理由となった温泉利用券でも、さらなる問題が明らかになってきた。

 温泉利用券はふるさと納税の返礼品の目的で発行されていたが、6月24日の市議会で、1万円券が1万600枚、5千円券が205枚、印刷されたが発行されずに「使途不明」になっていることが、生田市議の質問で明らかになった。総額で、1億702万5千円相当となる。

 温泉利用券を見ると、1枚ごとにシリアルナンバーが打たれ、使用期限は令和7年9月末までとあり「転売禁止」と印刷されている。

 だが、メルカリやヤフーオークションなどのサイトを見ると、洲本市の温泉利用券が多数、出品されていることが確認できる。たとえば、
〈洲本温泉利用券 1万円分×35枚(35万円分)〉
 が出品され、すでに落札されていた。

 また、今年1月には、温泉利用券の「偽造品」が発覚し、洲本市もホームページなどで注意喚起している。

 洲本市によれば、
「温泉利用券は一度、同じものを印刷し直したことがあり、それが使途不明となっていると思われます。ただ、いつどのシリアルナンバーのものが何枚、再印刷となったのかは記録がなくわからない。使途不明のものが持ち出されて、転売となっているのかどうかもよくわかりません。偽造品があることは確認して、警察に相談している」
 という。

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調査中なのに「ふるさと納税に復帰すべき」の声が