定位置のないモノをとりあえず詰め込んでいた納戸/ビフォー

 片づけによる変化は、息子にも起こります。

「息子は重度の知的障害があって、自分で片づけはできません。でも、学校ではリュックを自分の場所に置いたり、校内着に着替えたり、ルーティンはこなせると先生から聞いていました。家ではやらせたことがなかったんですが、片づけてから試してみたんです」

 モノの定位置を決めて、取り出しやすく、戻しやすい仕組みを作りました。すると、「脱いだ上着はどうするんだっけ?」と声をかけると、自分でハンガーにかけられるようになりました。

「お風呂から出た息子に“シャツを着てね”と言うと、引き出しから出せるようになったんです! 子どもたちのためにも、片づけてよかったと感じましたね」

 家がきれいになると、夫は「システマチックになって、きれいなままキープできているね」と暮らしやすさを喜んでくれました。さらに、夫も手放すことが苦手だったのに、自分のモノを“いる・いらない”で分けるようになりました。

「片づけで、自分の気持ちがこんなに変わるものかと思いました。家族へかける言葉も変わったし、家族からの言葉も素直に受け取れるし。なにより、スッキリした家だと毎日起きたときに気分がいいんです。“今日もいい一日になりそうだ!”って」

 こう話してくれるみかさんの笑顔はキラキラと輝いていました。

ストック品やかさばるモノなどを収納できる機能的な空間に/アフター

 自分の家が片づいたので、今後の目標は実家と祖母の家を片づけること。

「本人の意識が変わらないと家の中も変わらないということが、身をもってわかりました。私の経験を交えて片づけたら暮らしやすいこと、片づけは楽しいことを話しながら、ちょっとずつでも進めたいなと思います」

 近々、片づけの資格取得にもチャレンジするというみかさん。大人になるまで片づける習慣がなかったことを考えると、ものすごい変化ですよね。

 でも、この変化は魔法のように一瞬で起きたことではありません。毎日少しずつ努力したからこそ起きた小さな変化が積み重なったものです。みかさんが「変わりたい」と願ったように強い気持ちを持てば、誰にでもできると思います。

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