「一触即発じゃないのかな」
と顔をしかめながら話すのは、日本維新の会の国会議員。
維新で国政を率いるのは馬場伸幸代表。だが、維新の顔といえば、共同代表でもある大阪府の吉村洋文知事だ。その2人の間に亀裂が入っているというのだ。
6月に入って、馬場代表がネット番組などで、「大阪都構想をやらなければならない」「もう1回大阪都構想へチャレンジすることが国にとって必要」と、これまで住民投票で2回否決されている大阪都構想への3度目の挑戦を表明した。また、過去2回の住民投票は大阪市のみだったが、法改正して大阪府全体で住民投票をするという案も示した。
すると吉村知事は記者会見で、「(馬場)代表の個人的な意見だ」「万博の成功は選挙の公約でもあり、世界的なプロジェクトである万博に注力すべきだというのが僕の考え」と否定的に発言した。
吉村知事は、2020年に大阪都構想が2度目の住民投票で敗れた際に、「私が大阪都構想に挑戦することはない」と今後の挑戦を否定し、3度目の都構想を進めるのであれば、「なんらかの民主的なプロセスが必要だ」と明言していた。
今回、馬場代表が言い出した「法改正して大阪府全体での住民投票」について問われると、「法改正での大阪府での住民投票は、自分の民主的プロセスには入っていない」と重ねて否定した。
大阪府の幹部が説明する。
「吉村知事は馬場代表が『3度目の大阪都構想』と表明したとき、えらい怒ってました。馬場代表とも直接話したようで『それはない』『メディアにもそう言いますから』と都構想の挑戦を否定してました。結局、メディアの前では『代表の個人的な意見』と言って収めましたが、大きな溝があると感じました」
馬場代表と吉村知事の意見の食い違いはほかにもある。