そんな立花さんを支えたのは、居酒屋で号泣して驚かせてしまった友人たちだ。
腫れ物に触るような態度は一切見せず、無用な励ましもしない。昔と変わらない、自然体だった。家からなかなか出ようとしない立花さんを、少しずつ遠くに連れ出してくれた。
友人たちの勧めもあって、昨年11月にブログで病気を公表した。
「勇気が必要だった」と立花さんも覚悟の上だったが、病気とともに生きている人たちからの共感の言葉や、立花さんのブログを見て元気をもらったというコメントに、逆に励まされたのだという。
フラダンスの先生のおかげで心が救われた
「通っていたフラダンスの先生ががん患者なのですが、久しぶりに教室を訪れたとき、実は私と同じように『暗闇にいた』経験をしたのだと話してくれて、私、人前なのに大泣きしてしまったんです。死にたいって口にするなんて、私がおかしくなっただけなんじゃないかと思っていましたが、一人じゃなかったんだって。心が救われました」
自分が弱ってみて初めて、病気の人や困難に直面している人の気持ちに思いをはせるようになった。大きな気付きである。
誰かの役に立ちたい――。
自分の経験を発信し、伝えることで、がん患者だけではなく、困難に直面している人の力になれたり、笑ってくれたりしたら。そんな活動を思い描き、歩み始めた。
当事者として、どんな言葉で伝えたらいいのか。「がんばれ」などの励ましは逆にマイナスかもしれない。ネガティブな気持ちが勝ってしまうことだってあるから、暗闇を乗り越えたという感動話が、単純にプラスに働くとも思わない。
正解のない世界で、模索を続けている。