公立も私立同様に、合格を勝ち取るためには家庭の経済力が必要になっている
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 全国で公立の中高一貫校が増える中、これまで未設置だった愛知県が2025年度に4校を開校する予定だ。どのような学校になるのか。AERA 2024年7月1日号より。

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“県立王国”愛知が公立中高一貫校の設置に踏み切った──。

 教育関係者の間をそのニュースが駆け巡ったのは2022年夏のことだ。全国的に公立の中高一貫校が増える中、愛知県は42番目の設置となる見込みで、未設置は残すところ5県だ。

 愛知県教委によると、25年開校予定の明和、半田、刈谷、津島の4校を皮切りに、26年4月には豊田西、時習館、西尾、日進等7校が開校する。11校の中で、SSH(スーパーサイエンスハイスクール)に指定され、かつ公立高校としては珍しく音楽コースのある明和は、付属中学にも高校同様の音楽コースが置かれる。開校すれば全国初だ。また、日進は不登校経験者を受け入れることが発表されている。外国ルーツの子の多い西三河地域の衣台では、日本語指導などを実施する予定もあり、独自性のある展開と言えそうだ。

 教育政策に詳しい東京大学の鈴木寛教授は、公立の中高一貫校は、それぞれの学校で設置目的が少しずつ違うものの、

「教育政策の教科書的に言えば『教育の質』『教育の多様性』『学校へのアクセス』の三つの視点が大事」

 と話す。

 愛知の場合は、その三つの視点に立った上で、さらに地域格差の是正という側面を色濃く感じる展開になっている。東京、神奈川、大阪に次ぐ人口を誇るものの、中学から入れる学校は名古屋市周辺に集中し、中高一貫校という選択肢自体が少なかった。例えば、刈谷や時習館、西尾がある三河地区は面積的には広いが、現在は私立の中高一貫校が2校あるのみ。子どもたちに多様な選択肢を与えるために、公立中高一貫校の設置が決まったのだ。

 近年、首都圏などでは中学受験の過熱により、塾通いなど勉強開始が低年齢化していることが問題になっている。

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