渋谷公会堂で歌うジュリー=2013年1月(佐藤修史撮影)
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 1971年のソロ・デビュー以来、毎年のように新作アルバムを発表してきた沢田研二さん。ザ・タイガースやPYG時代の作品、近年のミニ・アルバム、シングルの曲などを加えると、持ち歌は500曲を超す。おなじみのヒット曲以外にも、〝隠れた名曲〟が山ほどある。「この曲、コンサートで歌ってほしい」――。ファンの末席を汚す若輩者(56)がジュリーへの嘆願書をつづる。

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拝啓

沢田研二さま

 6月25日の誕生日、おめでとうございます。76歳ですね。

 4月に東京・渋谷の公演を観ました。前から9列目のド真ん中。ステージを動き回り、豊かな声量で歌い上げる姿を間近で拝見しました。

 幕開けは「ストリッパー」。続けて、「TOKIO」「あなたに今夜はワインをふりかけ」「おまえにチェックイン」「カサブランカ・ダンディ」……。次々に繰り出されるヒット曲の勢いに圧倒されながら、かつて沢田さんから聞いた言葉を思い出しました。

過去のものを武器にしたくない

「僕は現役だから、過去のものを武器にしたくないんです。今の僕がどういう曲を歌いたいのかを示したいし、聴いてもらいたい」

 2001年1月10日、横浜市の山下公園を見下ろす「ザ ヨコハマホテル」(当時)のスイートルーム。朝日新聞社にいた私が、初めて沢田さんにインタビューしたときの言葉です。「公演では、あまりヒット曲を披露しませんね?」と尋ねた際、そう答えてくれました。

「コンサートに来てくれる人の多くは僕と同類なんです。過去のヒット曲をやっても、その反響は、僕と同じように『ああ、それね』くらいな感じ。とくに都市部のファンは、どの曲を演奏したって、ずっと僕についてきてくれる。その人たちの前で、ヒット曲を繰り返し歌う必要はないなと」

 あれから20年余り。いろいろありました。

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使い捨ての曲が増えて、公演で1回しか歌わない曲も出てくる