すべて、先輩教授や目をかけてくれた財界人の仲介だ。『源流Again』で、博物館になった建物の学習室で思い出していたら、また感謝の念が湧く。
08年8月に政策研究大学院大学の教授へ復帰し、副学長を経て2022年9月に学長就任。いま学生は約380人で、6割は留学生だ。貧困や紛争などでたいへんな母国からきている数も多く、帰国して国づくりに貢献する。「立派だな」と思う。
自分は、そんなに計画的な人生ではなかった。でも、最初は「えっ、何で?」と思っても、どの仕事も一度入ったらのめり込み、後悔もない。しかも幸運なことに、思ってもいなかった「自分」を発見する。だから、官僚も大臣もやってよかった。
やってみないと、何事も分からない。これは、大学院で学生たちに言っている。学ぶ領域のことでも「自分には向かないとか、考えたこともないなどと、言わないほうがいい。あなた自身のことは、あなたにも分かっていない。やってみて、初めて出会えることがある」と説く。
実は、一番いきたいのは宇宙だ。小学生時代にソ連の女性飛行士が宇宙へいったときに「宇宙飛行士になろう」と思った。でも、どうすればなれるのか道がみつからないまま、諦めた。いまや宇宙ロケットが一般人に開放されたが、すごく費用がかかるし、無重力状態に耐える体力が不可欠。やはり、大好きで毎朝見上げている空をみて、幸せな気持ちになるので十分だ。(ジャーナリスト・街風隆雄)
※AERA 2024年7月1日号